一方、男性に比較的多くみられるのが慢性ぼうこう炎。何らかの基礎疾患を抱えていて、ぼうこうの内部に細菌が増えて症状が出る。急性ぼうこう炎が治りきらず、慢性化する例もあるようだ。
桑満院長は「特にぼうこう内にできる結石は原因になりやすい。前立腺肥大などで残尿感がある状態も細菌が増殖するリスクがある」と指摘する。他にもぼうこうがんなどが症状を引き起こす場合がある。まずは原因となっている病気を特定し、治療するのが重要になる。
急性、慢性を問わず、症状が軽いからと放置していてはいけない。腎臓の内側にあって尿が集まる「腎盂(じんう)」まで細菌が到達し、高熱や背中の痛みを伴う腎盂腎炎を併発して、重症化する恐れもある。
ぼうこう炎になるのを避けるためにも日々の生活習慣を見直すようにしたい。排尿を我慢しすぎるのは禁物。さらに「疲労やストレスをため込まない」「適度に水分を取る」「体を冷やしすぎない」「陰部を清潔に保つ」といった点にも気を付けよう。
温水洗浄便座の利用にも注意する必要がある。清潔にするのは大切だが、かえって細菌をぼうこうの内部に押し込んでしまいかねないという。桑満院長は「排尿するだけであれば、温水洗浄はしない方がいい」と勧める。
(ライター 大谷 新)
[NIKKEIプラス1 2021年10月16日付]