失敗で「過信」に気付く

――ユニクロと同じく自社で一気通貫の流通を構築し、契約栽培した野菜を直接届けるビジネスモデルでした。

2002年に野菜事業を立ち上げたころの柚木氏。当時は「成功しないはずがない」と感じていた

「ところが箸にも棒にもかからず、短期間で多額の損を出すことになりました。うぬぼれがあったと思います。当時は自分が優秀な人間だと思っていましたから。優秀な自分×ファストリの柳井の賛同×必死でやる、という3つのかけ算で絶対成功すると思っていました。成功しないわけがないとすら思っていました。でも自分は優秀ではなく、何にもできなかったのです」

――野菜は服に比べて在庫管理が難しい面もありました。当時を振り返って何が足りなかったのでしょうか。

「経営者としての志(パーパス)ですね。真の志がなかったのだと思います。現実を直視できておらず、実行力もありませんでした」

――失敗からどんな教訓を得たのでしょうか。

「私は会社は潰れるものだと今でも強く感じています。そして、物は普通はそうそう売れないものだということも分かりました。売るという行為はそんなに易しいものではありません。自分独りでは何もできないし、社員や取引先も含めて協力してくれる人がいて、成り立っています」

「GUはまだ創業から15年ですがビジネスモデルはこれまでに6~7回作り替えています。企業のあり方をどんどんと作り替え続けているから、いまもGUが生き残っているのだと思います」

(古川慶一)

新作発表会でも登壇
ゆのき・おさむ 1965年兵庫県出身。一橋大経卒。大手商社、外資系ノンバンクを経て99年ファーストリテイリング入社。10年ジーユー(GU)社長に就任。
 大学時代は学園祭の実行委員だった。社会人でも同期の結婚式で出し物を企画し、「チームワークを発揮し、感動した友人を見ると、しびれるほどうれしい」。
 GUでは接客に優れ着こなしも提案できるスタッフを「おしゃリスタ」と認定する。新作発表会では柚木社長がおしゃリスタと共にステージに立つことも。
■お薦めの本
「V字回復の経営」(三枝匡著)
 30代の時に読みました。実話をもとにした企業変革ストーリーで、ドラマとしても面白く引き込まれます。経営の理論と具体が分かりやすくまとめられ、今も仕事中にたびたび思い出します。

[日本経済新聞夕刊 2021年11月18日付]

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