――柚木社長の明るいキャラクターもリーダーに必要な資質だと思います。

「いや、性格的にはリーダーに不向きだと思います。一生懸命やっていますが、私は支配欲求が弱いのですよ。何かを支配するとか、人の上に立ちたいとかはないのです」

演じていると自信になる

「逆に親和欲求が強く、『人と仲良くしたい』とか『人からよく思われたい』とかが強いタイプです。だから大きな組織の先頭にたって号令をかけて引っ張っていくよりも、強いトップのサポート役の方が向いているのではないかと今でも思っています」

――そうなのですか。それでもGUのトップを務めて、10年以上になります。

「私は関西人なので、大勢の前で話すのは確かに好きですよ。だからよく誤解されるのですが、トップの立場は本当にしんどいですね。それでもGUのリーダーを引き受けたということです」

「GUはもともと創業社長がいて、私はサポート役として途中から加わりました。ところがその人物が異動することになり、ファストリの柳井正会長兼社長から『GUの社長をやってくれ』と言われました。私は商品の知識もなく、性格的に向いてないと固辞したのです。でも柳井氏から真顔で『ほかに人材がいない』『頼む』と何回も言われました。やるか、放り投げるか。迷いましたが最後はやるしかないと引き受けました」

――柳井氏にそこまで頼まれたら断れないですよね。

「だから私はリーダーを演じている面があります。家族からも『社長になって声が大きくなったね』と言われました。レストランで食事を注文する時など自分ではこれまでと同じつもりでも、店全員に聞こえるような声で話していて驚かれることもあります。でも不思議なもので、演じているとそれが自信になってくるんです」

――柚木社長がリーダー像を確立した出発点となるような経験はありましたか。

「話したくはないのですが、失敗に終わったファストリの野菜事業です。02年に食品子会社を設立して新規参入しましたが、1年半で撤退しました。大失敗でした。私は事業化を進言した責任者でした。あの経験があったからこそ、いまの私があります」

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失敗で「過信」に気付く
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