ビフィズス菌・生活習慣… 大腸の健康、こうして守る

日経プラスワン

かつては便を作り排せつするだけの器官と思われていた「大腸」。現在は健康・長寿に関わる器官として注目され、大腸の状態を良好に保つ「腸活」に関心が高まっている。カギを握るのは食事と生活習慣だ。

大腸は小腸で消化・吸収された後に半液状となった食べ物のカスから水分やミネラルを吸収。便を生成して一時的にためた後、肛門へと送り排せつするのが主な働きだ。大腸には千種類・100兆個以上の細菌が生息しているといわれる。この腸内細菌叢(そう)(腸内フローラ)の研究が進んできたことで、大腸が健康・長寿にとって重要な器官であることが分かってきた。

腸内フローラは健康に有用な働きをする善玉菌、有害な影響をもたらす悪玉菌、状況に応じてどちらにもなる日和見菌に大別されてきた。「その割合は善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7が理想的とされてきたが、近年は多種類の細菌が共存する『多様性』が重要視されるようになっている」と話すのは、消化器専門医の松井輝明医師だ。

特に増やしていきたいのが「短鎖脂肪酸」を産生するビフィズス菌や酪酸産生菌。短鎖脂肪酸の酢酸は大腸の環境を弱酸性に維持し、悪玉菌の増殖を抑制する。酪酸は腸管の上皮細胞のエネルギー源としてバリア機能を維持するほか、潰瘍性大腸炎などの原因になりうる、過剰な炎症を抑える免疫細胞を増やす働きなどが報告されているという。

腸内フローラを研究する京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授は「100歳以上の百寿者の割合が高い京都・丹後地域の高齢者の腸内細菌を調べたところ、ビフィズス菌や酪酸産生菌の比率が高く、腸内フローラの多様性がみられた」と話す。

写真はイメージ=PIXTA

内藤教授は腸内細菌による胆汁酸の代謝物質「二次胆汁酸」にも注目する。二次胆汁酸は大腸がんの危険因子といわれてきたが、百寿者の便に多く見つかるなど、健康・長寿に寄与する可能性が示唆されているという。「ビフィズス菌はこの胆汁酸の代謝にも関わっている」(内藤教授)

大腸を良好な状態に保つには「食事で『シンバイオティクス』を取り入れたい」(松井医師)。シンバイオティクスは有用な菌を摂取する「プロバイオティクス」と、有用菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などをとる「プレバイオティクス」を組み合わせたもの。プロバイオティクスではビフィズス菌入りヨーグルトが代表的だ。「自分の腸に合うかどうかは、2週間程度継続して食べてみると分かる。何らかの効果が感じられなければ、ほかのものを試してほしい」(松井医師)

内藤教授はシンバイオティクスだけでなく「有害菌を増やす一因になる動物性の高脂肪・高たんぱく質や、砂糖、塩分、過度な飲酒を控えることも必要」と強調する。