ひらめきブックレビュー

就職面接に効く チャンスを得るためのキーワードとは 『ハーバードの 人の心をつかむ力』

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私たちは「他者」と関わり合いながら生きている。他者が自分をどう認識するかによって、その後の人生が大きく変わることさえある。就職面接や職場での評価などがその典型だ。

ただ、他者の自分に対する認識は、努力しても変えられるとは限らない。「男性(女性)だから○○だろう」といった、性別や年齢、過去の経歴などによる相手の思い込みで、不利な状況に置かれることは多々ある。

しかし、本書『ハーバードの 人の心をつかむ力』(栗木さつき 訳)によれば、コミュニケーションや行動次第で、相手の思い込みに負けずに、チャンスを逃さず自分に有利な状況を呼び込むことができるという。本書は、その際の鍵となる「EDGE(エッジ)」と名付けられた基本原則を紹介。著者自身の体験を含む豊富な事例をもとに解説している。著者のローラ・ファン氏はハーバードビジネススクール教授で、組織行動学を教えている。

■相手を心から楽しませるDelight

EDGEは、Enrich(価値をもたらす)、Delight(楽しませる)、Guide(誘導する)、Effort(さらに努力する)という4つのキーワードの頭文字をとったもの。PDCAのように、このサイクルを繰り返すことが重要なのだろう。

1つ目のEnrichは、相手にメリットをもたらすことを意味する。営業トークなどで、つい自社商品のアピールをまくしたてたりしてはいないだろうか。自慢話を喜んで聞く人は少ない。だが、例えば話の中に、相手の会社が考えそうな新規事業のヒントがまざっていれば、耳を傾けてくれる可能性が高くなる。

2つ目のDelightについては、本書のこんなエピソードが参考になる。

著者は、偶然にも著名な起業家であるイーロン・マスク氏との面談の機会を得た。しかし、事前にアポイントを取っていたのに資金援助の依頼に来たと誤解され、会って30秒で門前払いされそうになる。

著者は引き下がらなかった。憤慨して抗議することもなかった。くすくすと笑い始めたのである。そして、ユーモアを交えた会話でマスク氏を楽しませ、面談を成功させたという。

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