「罰」より「支援」が必要

興味深いのは、個人に限らず、社会も「叱る」に依存するとの指摘だ。SNSの炎上、青少年犯罪や薬物依存の厳罰化などの背景に著者は「叱る依存」を見る。

実際には、社会的にも「叱る」の効果は薄いようだ。例えば、薬物依存に対する厳罰化政策は世界的に失敗してきた歴史がある。詳細は本書を読んでいただきたいが、これを受けて海外では、個人による薬物の少量の所持・使用は非犯罪化する流れが強くなっているらしい。必要なのは「罰」ではなく、依存を脱するための「支援」なのだ。

著者は、高い要求水準を示し続けることで、叱らなくても「厳しい指導」は可能だとし、成長させるには、叱るより「やりたい」をサポートすることが重要だと説く。つい叱りそうになった時は、本当に相手のための行為かを確認したい。誰かを叱るかもしれないすべての人に、「叱る」とうまく付き合い依存を回避する方法を学んでほしい。

今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。2008年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

〈叱る依存〉がとまらない

著者 : 村中直人
出版 : 紀伊國屋書店
価格 : 1,760 円(税込み)