ハーレーダビッドソン・スポーツスターSにファン騒然

2021/12/12
ハーレーダビッドソン・スポーツスターS(6MT)
webCG

「スポーツスター」が水冷DOHCエンジンを搭載!? 過去と決別したかのようなメカと造形で物議をかもす、ハーレーダビッドソンのニューモデル「スポーツスターS」。走りの楽しさを前面に押し出したこの一台からは、未来へと突き進むハーレーの気合と覚悟がうかがえた。

大革新のニューモデル

2021年7月、ハーレーダビッドソンはブランニューモデル、スポーツスターSを正式発表した。初代スポーツスターのデビューは1957年にまでさかのぼり、車名の通りブランドのスポーティーなイメージをけん引。歴代モデルはいずれもスリムかつコンパクトなポジションが守られたことも手伝い、日本におけるハーレーダビッドソンのシェア拡大にも貢献してきた。

エンジンにはいくつかの系統があるものの、デビュー以来、4カム、一体型トランスミッション、空冷OHV、45°Vツインという形式を変えることなく進化してきた。スポーツスターと同時代に誕生した「ホンダ・スーパーカブ」(1958年登場)のエンジンが、途中でOHVからOHCに切り換わったことを思えば、はるかにかたくなな姿勢を貫いてきたといえる。

ところが、である。新生スポーツスターSにその面影はない。見た目こそVツインながら、シリンダーの挟み角は60°に広がり、DOHC化されたシリンダーヘッドには可変バルブタイミングまで採用。なにより冷却方式が空冷から水冷になったことが最大のトピックだ。これまでも水冷や空水冷のハーレーダビッドソンは存在したが、スポーツスターというど真ん中のモデルに、その波が押し寄せてきたことの意味は大きい。新エンジンに与えられた「レボリューションマックス1250T」というネーミングに偽りはなく、まさに「大革新」である。

2021年7月13日に世界初公開された「ハーレーダビッドソン・スポーツスターS」。アドベンチャーモデルの「パン アメリカ1250」を除くと、2016年に廃止された「Vロッド」以来の“水冷のハーレー”となる。
新エンジンの「レボリューションマックス1250T」。基本は「パン アメリカ1250」のエンジンと同じだが、ピストンや吸気系を改良して低・中回転域のトルクを強化。3000~6000rpmで最大10%のトルクアップを実現した。
初代「スポーツスター」の登場は1957年。それまでのサイドバルブエンジンに代えてOHVエンジンを搭載した高性能モデルとして人気を博した。スポーティーな走りを追求した「スポーツスターS」は、コンセプト的には「先祖返りした」と言えるかもしれない。

凝縮感のある独特のスタイリング

従来とまったく異なるのは、スタイルも然(しか)りだ。これはハーレーダビッドソンのファンに限らず、多くのバイクファンの間でも物議をかもした。見て見ぬふりをし、口をつぐみ、その排気音に耳をふさぎ……と、見ざる・言わざる・聞かざる状態になった人も多い。新しいモノが送り出されるときは多かれ少なかれ抵抗があるが、スポーツスターSに向けられた拒否反応はひと際大きいものだった。

私はといえば、そうでもない。なぜなら、同系のエンジンを搭載するハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデル「パン アメリカ1250」の高い完成度に、感銘を受けていたからだ。パン アメリカという存在もまた大いに物議をかもし、アウェー感あふれるなかで登場したモデルである。ところが、否定的な声を軽々と一掃する出来のよさは以前報告した通りだ。必然的にスポーツスターSにも期待が持てた。

スポーツスターSを目の前にすると、エンジンにもマフラーにも足まわりにも凝縮感があり、大柄なのか、小柄なのか、すぐには判断がつきかねる。755mmのシート高は大半の空冷スポーツスターよりは高いものの、一般的なビッグバイクのなかでは圧倒的に低い。実際、足つき性にはなんの不安もない。またライディングポジションはというと、上体を軽く前傾させたところにハンドルが位置。ステップは足を前方へ投げ出すフォワードコントロールだが、走行中の写真からも分かる通り、ヒザが伸びきることもない。

まずはなによりアグレッシブなスタイリングが目を引く「スポーツスターS」。インポーターの関係者によると、日欧ブランドのモデルに乗るライダーからも、引き合いが多いという。
シートは潔く1人乗り。タンデム走行を楽しむためには、アクセサリーのピリオンシートを装着する必要がある。
ライディングポジションに違和感や窮屈なところはない。ステップ位置はハーレーらしいフォワードコントロールだが、ヒザを伸ばさなければ届かないほどではない。
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車体もエンジンも“より軽く”