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ハーレーダビッドソン・スポーツスターSにファン騒然

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「スポーツスター」が水冷DOHCエンジンを搭載!? 過去と決別したかのようなメカと造形で物議をかもす、ハーレーダビッドソンのニューモデル「スポーツスターS」。走りの楽しさを前面に押し出したこの一台からは、未来へと突き進むハーレーの気合と覚悟がうかがえた。

大革新のニューモデル

2021年7月、ハーレーダビッドソンはブランニューモデル、スポーツスターSを正式発表した。初代スポーツスターのデビューは1957年にまでさかのぼり、車名の通りブランドのスポーティーなイメージをけん引。歴代モデルはいずれもスリムかつコンパクトなポジションが守られたことも手伝い、日本におけるハーレーダビッドソンのシェア拡大にも貢献してきた。

エンジンにはいくつかの系統があるものの、デビュー以来、4カム、一体型トランスミッション、空冷OHV、45°Vツインという形式を変えることなく進化してきた。スポーツスターと同時代に誕生した「ホンダ・スーパーカブ」(1958年登場)のエンジンが、途中でOHVからOHCに切り換わったことを思えば、はるかにかたくなな姿勢を貫いてきたといえる。

ところが、である。新生スポーツスターSにその面影はない。見た目こそVツインながら、シリンダーの挟み角は60°に広がり、DOHC化されたシリンダーヘッドには可変バルブタイミングまで採用。なにより冷却方式が空冷から水冷になったことが最大のトピックだ。これまでも水冷や空水冷のハーレーダビッドソンは存在したが、スポーツスターというど真ん中のモデルに、その波が押し寄せてきたことの意味は大きい。新エンジンに与えられた「レボリューションマックス1250T」というネーミングに偽りはなく、まさに「大革新」である。

凝縮感のある独特のスタイリング

従来とまったく異なるのは、スタイルも然(しか)りだ。これはハーレーダビッドソンのファンに限らず、多くのバイクファンの間でも物議をかもした。見て見ぬふりをし、口をつぐみ、その排気音に耳をふさぎ……と、見ざる・言わざる・聞かざる状態になった人も多い。新しいモノが送り出されるときは多かれ少なかれ抵抗があるが、スポーツスターSに向けられた拒否反応はひと際大きいものだった。

私はといえば、そうでもない。なぜなら、同系のエンジンを搭載するハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデル「パン アメリカ1250」の高い完成度に、感銘を受けていたからだ。パン アメリカという存在もまた大いに物議をかもし、アウェー感あふれるなかで登場したモデルである。ところが、否定的な声を軽々と一掃する出来のよさは以前報告した通りだ。必然的にスポーツスターSにも期待が持てた。

スポーツスターSを目の前にすると、エンジンにもマフラーにも足まわりにも凝縮感があり、大柄なのか、小柄なのか、すぐには判断がつきかねる。755mmのシート高は大半の空冷スポーツスターよりは高いものの、一般的なビッグバイクのなかでは圧倒的に低い。実際、足つき性にはなんの不安もない。またライディングポジションはというと、上体を軽く前傾させたところにハンドルが位置。ステップは足を前方へ投げ出すフォワードコントロールだが、走行中の写真からも分かる通り、ヒザが伸びきることもない。

車体もエンジンも"より軽く"

ハーレーダビッドソンのイメージを覆すのは、軽さだ。特に踏ん張らなくとも車体はヒョイと直立。車両重量は228kgにすぎず、空冷モデルから30kg前後削(そ)ぎ落とされた恩恵は実に大きい。軽量化のため、エンジンのカバー類はマグネシウムで成型され、アルミも多用。なにより大きな変化がフレームで、エンジンを取り囲むクレードルフレームを廃して、必要最小限のスチールパイプを分割してエンジンに締結している。クレードルフレームの場合、それ自体が荷重を受けるため高い剛性が求められたが(=重量がかさむ)、スポーツスターSはエンジンそのものを剛性メンバーにして、フレームの簡略化に成功しているのだ。

アイドリング音はいかにもフリクションが少なそうな、ヒュルヒュルとした軽やかなサウンドだ。いわゆる「ポテトサウンド」はそこになく、ギアをニュートラルから1速に入れるときも、カツンと静かに送り込まれる。

水冷DOHC 4バルブ60°Vツインの排気量は1252ccだ。既存のスポーツスターに搭載される1202ccの空冷OHV 2バルブ45°Vツインと排気量はさほど変わらないわけだが、そのストロークは25mm近くショートになっている。スロットルを吹かせば4インチのTFTディスプレイの中でタコメーターの表示が鋭く上下動し、高回転型への変貌を伝える。

日本仕様のエンジンスペックは最大トルク(125N・m/6000rpm)だけが公表されている一方、本国のサイトを見ると、最高出力は121PS/7500rpmとある。排気量、車重、パワー、トルク、そしてそれぞれの発生回転数からなる関係性は、例えば「BMW R nineT」に近く、トルクフルで俊敏なスポーツネイキッドに仕立てられていることが予想される。

漫然としていてはうまく走らせられない

エンジンモードは、「SPORT」「ROAD」「RAIN」がデフォルト設定となる。印象的なのはSPORTを選択したときだ。3000rpmを超えてからの加速力は、体をしっかりホールドしていないと危ういほど。これまでのスポーツスターと比べれば超高回転型になったとはいえ、一般的なスポーツバイク比では今なおトルク型だ。スロットルを開けた瞬間、リアタイヤが路面を蹴飛ばし、パンチのある爆発力が途切れることなく続く。もちろん常識的な操作をすれば、ゆったり流すことも許容してくれるわけだが、回りたがるそのキャラクターは、どこかドゥカティのLツイン的ですらある。

そうやって調子に乗りそうな気持ちに歯止めをかけるのが、サスペンションとタイヤだ。リアサスペンションのプリロードはダイヤルで簡単に調整できるが、はっきりと硬く、大きなギャップを拾えば遠慮なく体を突き上げてくる。したがって、これを幾度か経験するとスロットル開度は自然と控えめになっていく。

もうひとつの要因が、新たなアイデンティティーとも呼べる幅160mm&17インチの極太フロントタイヤだ。空冷スポーツスターのなかには、幅130mm&16インチという組み合わせもあるが、それを大幅に上回るサイズを採用。タイヤのハイトが高く、丸いを超えて球体にすら見えるたたずまいがユニークだ。

もちろん、「思いのほかハンドリングはニュートラルで~」とか「コーナーではクルリと旋回し~」という展開にはならない。低速域ではタイヤの自重に負けて、旋回方向にステアリングが切れ込み、逆に高速域では直進しようとする力が上回り、漫然と乗っていると曲がらない。

手応えの強い走りが楽しい

想像通りの挙動ではあるが、撮影中にカメラマンから言われた「前傾姿勢を強くしてもらったほうがカッコイイと思います」というアドバイスがヒントになった。カメラマンが言う「カッコイイ」とはライダーとバイクの一体感を指した言葉に違いないが、それは単に見た目のことではない。はた目にも一体感が高いということは、操るうえでも正しいライディングフォームであることが多く、スポーツスターSはその典型だった。

事実、意図的に前のめりに荷重をかけるとフロントタイヤが安定し、ライントレース性が高まることが分かった。舵角とバンク角がバランスするポイントを探りながらコーナーをクリアするのは手だれ感があり、乗り手の工夫が逐一挙動になって表れるのはことのほか楽しい。上半身を前後左右に動かし、グリップを握る手の力加減を探りながら走らせるのは文字通り手応えがあり、ただ流していればいい無味乾燥なモデルより、ずっと豊かな時間を過ごせる。

細部で気になったのは、アイドリング+αの領域でエンジン回転が時々勝手に上下動することだ。そのタイミングとクラッチ操作のタイミングが重なると、意図に反して車体が進もうとしたり、逆にストールしかけたりするため、要改善ポイントとして指摘しておく。また、フロントブレーキに負担がかかるのか、フェードというほどではないにしろブレーキレバーが"入りがち"だ。車体が軽量化されたとはいえ、出力は大幅に上がっているのだから、強化を促したい部分である。

ハーレーは腹をくくっている

おそらく、このモデルを境にしてスポーツスターはそれ以前と以後に分断される。ハーレーダビッドソンとて、そんなことは百も承知だろう。パン アメリカがそうであるように、新しいマーケットを開拓するための宣言として、これくらいの振り幅を必要としたのだと思う。

その意味でハーレーダビッドソンの取り組みは正しい。なぜなら、二輪業界に長くいながらハーレーダビッドソンにもスポーツスターにもさして縁がなかった私のような人種が、たびたびそれらに触れ、ヨーロッパや国内メーカーのモデルと横並びに評価するようになったからだ。ハーレーダビッドソンとそれ以外。こうした垣根はむしろわれわれが勝手につくり上げていたもので、それを向こうから飛び越えてきてくれたところに、生き残りをかけた決意がうかがえる。

もっとも、昔ながらの、そして極めて根強いファンをないがしろにするつもりもないはずだ。スポーツスターSの公式PVのなかでは、ツインショックのモデルやダウンタイプのマフラーを装着したモデルの存在も示唆されていた。まず一発目は新しいユーザーに向けてインパクトを放ち、ときを待って伝統のスタイルもきちんと提供する。ハーレーダビッドソンが描く今後数年間のブランド戦略は攻守が巧みに入り交じり、これまでにない展開を迎えようとしている。

(文=伊丹孝裕/写真=ハーレーダビッドソンジャパン/編集=堀田剛資)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2270×--×--mm
ホイールベース:1520mm
シート高:755mm
重量:228kg
エンジン:1252cc 水冷4ストロークV型2気筒DOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:--PS/--rpm
最大トルク:125N・m(12.7kgf・m)/6000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:185万8000円~188万7700円

[webCG 2021年11月1日付の記事を再構成]

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