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三菱アウトランダーは4世代目 PHEVで7人乗り実現

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webCG

プラグインハイブリッドの魅力を広く知らしめた「三菱アウトランダーPHEV」が、いよいよフルモデルチェンジ。あまたの新機軸が取り入れられた新型は、どのようなクルマに仕上がっているのか? クローズドコースで体感したプロトタイプの走りを報告する。

衝撃的だった初代のデビュー

初めてアウトランダーのPHEVモデルを走らせたとき、素直に未来へのときめきのような楽しさを感じたことを、今でも覚えている。当時はまだ電気自動車(EV)シフトや環境に対する世間の意識も今ほど強くなく、筆者自身、例えば「プリウスPHV」が57km/リッター走るなどと言われても、充電できるハイブリッド車にそれほどピンときてはいなかった。賃貸住まいでは充電器など置けないし、普通の「プリウス」がレギュラーガソリンで38km/リッターも走るのだから十分ではないかと思っていたのだ。

そんななか、突如現れた初代アウトランダーPHEVは、まるで宇宙船のように走って筆者をわくわくさせた。宇宙船が走るとはわれながら滑稽な表現だが、とにもかくにもその巨体が滑らかに走りだし、アクセルを踏み込めばロケットのように加速するモーターライドに驚いた。燃費ばかりではない、乗り物としての魅力をハイブリッド車に感じたのだ。見た目は超コンサバ。内装はかなりプラスチッキーで、色使いも地味。しかし、そんな武骨ささえもがハイテクな戦車のようで、三菱というメーカーの血統と技術が、初めてシンクロしたように思えたのである。

早いもので、そんなアウトランダーPHEVのデビューからおよそ9年の歳月が過ぎ、世のなかは大きく変わった。PHEVが当たり前になったどころか、ハイブリッド車の開発で後れをとった欧州勢は一気にEVへのシフトを強行してエコを叫び、なんでもかんでもモーターで動かしてデジタル技術で表現する世界へ突入した。

こうした状況下で、アウトランダーのPHEVモデルは2世代目、アウトランダーシリーズ自体も(日本仕様が「エアトレック」と呼ばれていた時代を含めて)4世代目に移行することとなったわけだが、果たして新型はどれほどの進化を遂げたのだろうか? あの驚きを超えるようなワクワク感を、再び筆者に与えてくれるのだろうか?

新しくなったシャシーとパワートレイン

試乗会の実施日が正式発表の前ということもあり、今回はクローズドコースである「袖ケ浦フォレストレースウェイ」がその舞台となった。早速、走らせた印象を熱く語りたいところだが、その前に、まずは押さえておくべき概要を説明しよう。

新型アウトランダーは、車両の骨格にルノー・日産・三菱のアライアンスで開発した新しいプラットフォームを使うことが、ひとつ目の大きなトピックである。プラットフォームの開発リーダーは日産で、すでに彼らは新型「ローグ」を発売。その後も新型「エクストレイル」や「キャシュカイ」「ルノー・カジャー」が登場する運びとなっている。クルマの基礎を共用するこれらのモデルに対し、三菱の開発陣は、「S-AWC」の走りで差をつけたいとコメントしていた。

また、ボディーサイズも全長×全幅×全高=4710(+15)×1860(+60)×1745(+35)mm、ホイールベース=2705(+35)mmと、これまでよりひとまわり拡大。車両重量はグレードの違いによって2010~2110kgとなっている。

前軸用と後軸用に2つの駆動モーターを搭載するツインモーター4WDのプラグインハイブリッドシステムは、フロントのモーター出力が60kWから70kWへ、リアのそれが70kWから100kWへと向上。バッテリーの総電力量も13.8kWhから20kWhへと増え、WLTCモードにおけるEV走行可能距離は、従来の57kmから87kmへと大きく延びた(「M」グレード、その他のグレードは83km)。一方で、車両重量の増加もあってか燃費性能は「M」グレードで16.6km/リッター、その他のグレードで16.2km/リッターと、数値上の大きな進化は見られない。ただしガソリンタンクの容量は45リッターから65リッターへと増やされており、トータルでの行動範囲は大きく広がっていることだろう。

多くの時間をシリーズハイブリッドの発電機として機能するエンジンには、初代の後期モデルと同じくMIVEC(可変バルブ機構)付きの2.4リッター直列4気筒を採用。高膨張比サイクル化によって低回転領域での、EGRクーラーやエキマニ一体型シリンダーヘッドの採用によって高回転領域での燃費改善を図りながら、最高出力も128PSから133PSへと向上させている。

乗ればわかるハンドリングの進化

バッテリーの充電時間は、普通充電で約7.5時間。急速充電だと約38分で80%まで回復させられる(最大出力電流が105A以上の充電器を使用した場合)。またエンジン発電でも約94分で80%まで容量を回復できる。「エンジンで発電」というと想定されるのは災害など万が一のケースだが、新型アウトランダーでは従来通りフロアコンソールボックスとラゲッジルームにある100V AC電源(1500W)から、駆動用バッテリーの電気を取り出すことができる。満充電・満タンの状態からなら、一般家庭約12日分(従来モデルは10日分)の電力供給が可能だ。

またボディーサイズの拡大により、これまで2列5人乗りのみだったシートレイアウトには3列7人乗りも設定されるようになった。ラゲッジ容量は3列目収納時で634~646リッター。セカンドシートも収納すると1373~1390リッターとなる。

……と、そんな新型アウトランダーをいざ走らせるわけだが、今回のコースはサーキット、しかも10分×2回と時間も限られているため、こうした機能面での進化は試せない。主にはダイナミック性能と動的質感の確認が目的の取材となった。

さて、コースに入って真っ先に感じ取ったのは、初期操舵時におけるまとまりのよさである。ようやくダブルピニオン化されたステアリングは、電動パワーステアリングの制御は強め(≒ハンドルが軽め)だが、先代の曖昧なフィーリングは払拭(ふっしょく)されて、素直にこの巨体を動かせる。これだけ真っ平らな道でもわかるのだから、リアルワールドでの効果はてきめんだろう。

一方、ステアリングのギア比はクイック化され、街なかでの取り回しをよくするためにロック・トゥ・ロックが3.3回転から2.6回転にされているが、これについては操舵レスポンスが機敏になり過ぎている一因に感じられた。アウトランダーのように車体が大きく重たいクルマであれば、その反応はもう少し落ち着きがあってもよいと思うのだが、「わかりやすさ」も現代のニーズなのだろう。

矛盾をはらむ"20インチのエコタイヤ"

「わかりやすさ」といえば、気になったのがタイヤである。ピットアウトした直後の1コーナー、ターンして少し驚いたのは、そのグリップ力が予想以上に低いことだった。ソフトな足まわりと重心が高く重たいボディーの影響から、ブレーキングでは荷重の移動量が大きくなる。ここで操舵を行ったとき、アウトランダーはスーッとそのリアタイヤを滑らせて筆者のキモを一瞬冷やした。もちろんその動きはモニタリングされているから、車両側がVSCですぐさま"ダン!"と、ブレーキを利かせてスタビリティーを確保してくれる。しかし、そういう問題ではないと思う。問題は足まわりのトータルバランスである。

そもそも新型アウトランダーPHEVは、20インチもの大径ホイールを選びながら、そこに履くシューズはエコタイヤという矛盾を抱えている。さらに、乗り心地に配慮してのことだろう、サスペンションは前述の通りソフトで、車重の重さもあってロール量が大きく、ロールスピードも速い。タイヤのインチアップはグリップ性能の確保というより見た目重視のものであり、車体が勢いよくロールすれば、その慣性を支え切れずに滑る。

2コーナーからの長くゆるいカーブで大きなS字を描いてみても、やはりロールの揺り戻しが気になった。普段こうした蛇行運転などはしないし、その速度域も想定される使用シーンとは少し乖離(かいり)している。しかし、高速巡航時の緊急回避などを思うと、このイナーシャの残り、いわゆる"おつり"は少し不安だ。個人的にはもう少しロール剛性かタイヤのグリップ力を上げて、走行安定性を高めてほしい。もっと言えば、カッコ優先で20インチホイールを選び、燃費や交換コストの帳尻を合わせるためにエコタイヤを履かせるのはおかしいと思う。ただ、こうしたチョイスはマーケットの声に応えてのもののはず。なんとも難しいところである。

洗練されたパワートレインの制御

3コーナーからの急な上り坂では、モーターパワーが心地いい。アクセルを深めに踏むと、わりと早くからエンジンが目を覚ますが、遮音性が高くクルマ全体の乗り味もすっきりとしているため、これを回しながらでも走りが気持ちいい。

ただし、その加速力には初めてアウトランダーPHEVを運転したときのような驚きはなかった。今回のテストコースが、道幅も広く全開率の高いサーキットだったからかもしれないが、同時にこの10年弱で"モーターライド"が一般化し、自分の体も電動パワーに慣れてきたこともあるのだと思う。もはや「テスラ・モデルS」や「ジャガーIペース」といった過激派を持ってこない限りはモーターのカタパルトダッシュに驚きはしないだろう。

直接のライバルとなるであろう「トヨタRAV4 PHV」と比べても、新型アウトランダーの加速力は穏やかな印象だが、ただそれがマイナスだとも思わなかった。誰もがドトウの加速を求めているわけでなく、大切なのはそのパワーの出し方だからだ。その点で言うと、アウトランダーPHEVはパワーオン時の4輪の制御感が自然で、アクセルオフ時の回生ブレーキの追従性にもきめ細やかさがみてとれる。これが一般道では、上質感やスポーティネスにつながると予想できた。

そしてハイライトは、ツインモーターと「AYC」(アクティブ・ヨー・コントロール)がもたらすS-AWCのコーナリングである。定石通りにブレーキングを終えて、フロントグリップを確保しながら丁寧にハンドルを切り込んでいくと、アウトランダーPHEVはきれいに向きを変えていく。タイヤの横グリップはさほど高くないため、当然オーバーステアの領域に入る。VSCをオフにしていても、こうした状況下では最終的に電子制御が介入するのだが、ここでアクセルを追従させるとクルマ側がそのトラクションを確認して、滑らせながらも前に進んでくれる。そのアクセルレスポンスのよさや微調整のしやすさは、やはりモーターならでは。パワーをかけていっても、4輪はケンカせずにトラクションを路面に伝える。

より多くの人に受け入れられるクルマへ

ここで面白いのが、ブレーキAYCの制御だ。例えばオーバーステアが出たとき、FF車や4WD車ではカウンターをあてずに進みたい方向へ舵を入れて、トラクションをかけて挙動を安定させる。しかし三菱のAYC搭載車では、ここからさらに、少しだけステアリングを切り込む。こうすることでAYCが働いて、過大なオーバーステア(ときにはアンダーステア)を抑えながら、クルマを曲げていくのだ。

この巨体が滑りながらも姿勢を安定させ、ゼロカウンターで走る。ディファレンシャルではなくブレーキ制御のAYCなので"ランエボ"ほど強引ではないが、新型ではリアにもこれが投入された効果なのだろう、まるでコマンドを入れるかのように操舵すれば、確実に曲がっていく。そのロボットのような忠実さは、ちょっとあきれるほどだった。これがたとえば雪道であれば、ベテランのドライバーほど慣れが必要だが、ひとつの武器になると感じた。

同時に、これだけのパフォーマンスとぶれのないボディー剛性を持っているのだから、もう少しフットワークの方向性は考えてほしい、あるいはバリエーションをつけてほしいとあらためて感じた。

上級仕様にもなるとインテリアはきちんとトリミングされ、かつてのプラスチック感はない。ドアパネルやドアノブといった細かい部分までトーンをそろえ、シートも3列目以外は座り心地がなかなかいい(伸長170cmの筆者は、サードシートで頭がつかえてしまった)。他方でインフォテインメント関連は必要十分な機能がそろっているものの、意外性や驚きはなく、こうした電化製品的な部分でこそ日本車としての本領を発揮してほしかった。フォルクスワーゲングループやメルセデス・ベンツを超える大胆さで驚かせてほしかったが、そこはコストとの兼ね合いなのだろうか。

総じてアウトランダーは、この新型で王道のプレミアムSUVとなった。10年前のメカメカしい個性的なキャラクターが消えてしまったのは個人的に残念だが、こっちのほうがより多くの人たちに受け入れられるだろう。あとはこの動的性能が、オープンロードでどのように感じられるか? そこが筆者としても非常に興味深い。

(文=山田弘樹/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1860×1745mm
ホイールベース:2705mm
車重:2110kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:133PS(98kW)/5000rpm
エンジン最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)/4300rpm
フロントモーター最高出力:116PS(85kW)
フロントモーター最大トルク:255N・m(26.0kgf・m)
リアモーター最高出力:136PS(100kW)
リアモーター最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)
タイヤ:(前)255/45R20 101W M+S/(後)255/45R20 101W M+S(ブリヂストン・エコピアH/L422プラス)
ハイブリッド燃料消費率:16.2km/リッター(WLTCモード)/17.8km/リッター(JC08モード)
価格:532万0700円/テスト車=--円
オプション装備:--

テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

[webCG 2021年10月28日付の記事を再構成]

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