三菱アウトランダーは4世代目 PHEVで7人乗り実現

2021/12/5
三菱アウトランダーP プロトタイプ(4WD)
webCG

プラグインハイブリッドの魅力を広く知らしめた「三菱アウトランダーPHEV」が、いよいよフルモデルチェンジ。あまたの新機軸が取り入れられた新型は、どのようなクルマに仕上がっているのか? クローズドコースで体感したプロトタイプの走りを報告する。

衝撃的だった初代のデビュー

初めてアウトランダーのPHEVモデルを走らせたとき、素直に未来へのときめきのような楽しさを感じたことを、今でも覚えている。当時はまだ電気自動車(EV)シフトや環境に対する世間の意識も今ほど強くなく、筆者自身、例えば「プリウスPHV」が57km/リッター走るなどと言われても、充電できるハイブリッド車にそれほどピンときてはいなかった。賃貸住まいでは充電器など置けないし、普通の「プリウス」がレギュラーガソリンで38km/リッターも走るのだから十分ではないかと思っていたのだ。

そんななか、突如現れた初代アウトランダーPHEVは、まるで宇宙船のように走って筆者をわくわくさせた。宇宙船が走るとはわれながら滑稽な表現だが、とにもかくにもその巨体が滑らかに走りだし、アクセルを踏み込めばロケットのように加速するモーターライドに驚いた。燃費ばかりではない、乗り物としての魅力をハイブリッド車に感じたのだ。見た目は超コンサバ。内装はかなりプラスチッキーで、色使いも地味。しかし、そんな武骨ささえもがハイテクな戦車のようで、三菱というメーカーの血統と技術が、初めてシンクロしたように思えたのである。

早いもので、そんなアウトランダーPHEVのデビューからおよそ9年の歳月が過ぎ、世のなかは大きく変わった。PHEVが当たり前になったどころか、ハイブリッド車の開発で後れをとった欧州勢は一気にEVへのシフトを強行してエコを叫び、なんでもかんでもモーターで動かしてデジタル技術で表現する世界へ突入した。

こうした状況下で、アウトランダーのPHEVモデルは2世代目、アウトランダーシリーズ自体も(日本仕様が「エアトレック」と呼ばれていた時代を含めて)4世代目に移行することとなったわけだが、果たして新型はどれほどの進化を遂げたのだろうか? あの驚きを超えるようなワクワク感を、再び筆者に与えてくれるのだろうか?

「アウトランダーPHEV」の登場は2012年12月のこと(発売は翌年1月)。新型にはガソリン車の設定がなく、差別化の必要がなくなったためか、正式な車名は単に「アウトランダー」となった。
内装はインストゥルメントパネルまわり、ドアまわりともに従来型から大幅に質感を向上。各所にステッチ入りのソフトパッドが用いられている。
メーターに代えて装備される12.3インチのフル液晶ディスプレイ。表示デザインには、2眼メーターを模したクラシックなものに加え、写真の「エンハンスモード」も用意。
グレードは下から「M」「G」「P」(写真)の3種類。内外装の仕様や快適装備の充実度、シートレイアウトなどに違いはあるが、パワートレインやドライブトレイン、予防安全・運転支援システムに大きな差異はない。

新しくなったシャシーとパワートレイン

試乗会の実施日が正式発表の前ということもあり、今回はクローズドコースである「袖ケ浦フォレストレースウェイ」がその舞台となった。早速、走らせた印象を熱く語りたいところだが、その前に、まずは押さえておくべき概要を説明しよう。

新型アウトランダーは、車両の骨格にルノー・日産・三菱のアライアンスで開発した新しいプラットフォームを使うことが、ひとつ目の大きなトピックである。プラットフォームの開発リーダーは日産で、すでに彼らは新型「ローグ」を発売。その後も新型「エクストレイル」や「キャシュカイ」「ルノー・カジャー」が登場する運びとなっている。クルマの基礎を共用するこれらのモデルに対し、三菱の開発陣は、「S-AWC」の走りで差をつけたいとコメントしていた。

また、ボディーサイズも全長×全幅×全高=4710(+15)×1860(+60)×1745(+35)mm、ホイールベース=2705(+35)mmと、これまでよりひとまわり拡大。車両重量はグレードの違いによって2010~2110kgとなっている。

前軸用と後軸用に2つの駆動モーターを搭載するツインモーター4WDのプラグインハイブリッドシステムは、フロントのモーター出力が60kWから70kWへ、リアのそれが70kWから100kWへと向上。バッテリーの総電力量も13.8kWhから20kWhへと増え、WLTCモードにおけるEV走行可能距離は、従来の57kmから87kmへと大きく延びた(「M」グレード、その他のグレードは83km)。一方で、車両重量の増加もあってか燃費性能は「M」グレードで16.6km/リッター、その他のグレードで16.2km/リッターと、数値上の大きな進化は見られない。ただしガソリンタンクの容量は45リッターから65リッターへと増やされており、トータルでの行動範囲は大きく広がっていることだろう。

多くの時間をシリーズハイブリッドの発電機として機能するエンジンには、初代の後期モデルと同じくMIVEC(可変バルブ機構)付きの2.4リッター直列4気筒を採用。高膨張比サイクル化によって低回転領域での、EGRクーラーやエキマニ一体型シリンダーヘッドの採用によって高回転領域での燃費改善を図りながら、最高出力も128PSから133PSへと向上させている。

車両の基本的なつくりは、ルノー・日産・三菱アライアンスで共用する新型プラットフォームに、三菱独自の2モーター+1ジェネレーター式のプラグインハイブリッドシステムを搭載したものだ。
パワートレインの基本はシリーズハイブリッドで、エンジンは通常は発電に専念。状況に応じて、エンジンとモーターの両方でタイヤを駆動するパラレルハイブリッドモードとなる。
空調のダイヤルやドライブモードセレクターは、側面にダイヤモンドカットを入れて質感を向上。シフトセレクターは操作後にセンターに位置が戻るジョイスティックタイプとなっている。
電動パワートレインの制御には、“お任せモード”の「NORMAL」、バッテリーの電気のみで走る「EV」、バッテリー残量を維持して走る「SAVE」、バッテリー残量を回復しながら走る「CHARGE」の4種類が用意される。
予防安全・運転支援システムの強化も図られており、新たにブレーキ制御を用いた車線逸脱予防機能や、後側方衝突防止支援機能、前進・後退の両方に対応した踏み間違い衝突防止アシスト機能などが追加された。
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