ひらめきブックレビュー

創造力は才能ではない 「3つの思考法」から学ぶ 『創造力を民主化する』

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もしあなたが、これまでにない「新しい歯ブラシ」を企画することになったとしたら、何から始めるだろうか。クリエイティブな仕事への憧れはあっても、まったく新しい発想はそう簡単には出てこない。「創造力」という言葉に苦手意識を持つ人もいるだろう。

そこで一読をお勧めしたいのが、本書『創造力を民主化する』だ。クリエイターやイノベーターの特別な才能と思われがちな創造力を、誰でも伸ばして強みにすることを目指し、そのためのフレームワークと思考法を解説する。著者の永井翔吾氏は、企業変革を支援するVISITS Technologies(東京・千代田)のエグゼクティブ・ディレクターとして、デザイン思考テスト事業の責任者を務める。

■「課題」と「解決方法」に分ける

著者はまず、創造力とは「いろいろなものを繋(つな)ぐ力」であって、必ずしも無から何かを生み出す必要はないと説く。そう聞いただけで心が少し軽くなる。フレームワークではまず、対象となる物事を「課題」と「解決方法」に分ける。冒頭の歯ブラシの例であれば、課題は「歯をきれいにする」ことであり、解決方法は「掃除する」ことなどとなる。

さらに、課題と解決方法のそれぞれに3つの思考法を用いて発想を広げていく。物事を抜本的に捉え直す「統合思考」、類似するほかの物事と結びつけて新しい発想をする「アナロジー思考」、先入観や思い込みを捨てて新しい枠組みで物事をとらえる「転換思考」だ。

統合思考の1つに、課題を抽象化することで複数の課題を一気に解決する方法がある。例えば、スーパーマーケットで「2階に行くために階段を使いたくない」という課題があるとする。通常なら、エレベーターやエスカレーターの設置を考えるだろう。しかし、課題を抽象化して「移動せずに買い物がしたい」と捉え直せば、「事前に商品を注文して受け取る」「自動車椅子のようなものに乗って移動する」といった発想につながる。

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