「サプリ」も歯ブラシに
一般的に、思考法の解説は抽象的になりがちだ。しかし、本書は具体例が次々と出てくるのでわかりやすい。図も多用しており、理解を助けてくれる。
考え方を学んだら次は実践だ。本書では、「新しい歯ブラシ」を例に、実際にアイデアの創造を試みている。課題の「歯をきれいにする」を軸にアナロジー思考で解決方法を考えると、「きれいにする」方法から掃除機を連想し、「吸い取る」などの発想が生まれる。また、解決方法の「掃除する」について、モノを使う方法からモノを使わない方法に転換思考を用いる。すると、「唾液で洗う」という発想から「唾液が歯をきれいにする効用を高めるサプリ」などの案が出てくる。実現の可能性はひとまず置くとしても斬新なアイデアと言えよう。
本書を読んだ後、創造力に対する心理的ハードルが下がったと感じた。この思考法を使いこなせば、自分にも新しい発想が確かにできる気がしてくる。企画や開発、教育、研究など、創造力が求められるすべての場で本書を活用してほしい。
今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。08年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。
2020年から情報工場エディター。08年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。