店舗はショールーム、在庫を持たないモデル店
店舗にないサイズや商品は、店内に設置された大型モニターを通じ同社の電子商取引(EC)サイトで探すことができる。モニターが大きいため商品のイメージがしやすく、店員に相談もできる。その場で注文し、自宅に届く仕組みだ。
河野氏は「店舗はいまやショールームになった。在庫を持たないモデル店にしたい」と意気込む。新業態で新たな顧客層を掘り起こす。
デジタル施策に加えて同社が注力するのがオーダー事業だ。在宅と出社勤務を柔軟に切り替える社会人が増えたため、手ごろな価格以外にもスーツに求められる機能やこだわりが変わってきている。店舗にとっても、既製服と違い顧客の注文に応じて作るため過剰な在庫を持たなくて済む利点がある。
このため、TSCスクエアでもオーダーの注文窓口を設け、100万通りの選択肢から好みの1着を作ることができるようにした。女性管理職の増加を受けてレディーススーツのオーダーも新たに導入した。
今後、新規出店や既存店の改装などではTSCスクエアを軸にする予定だ。具体的な店舗数は明らかにしていないが、「洋服の青山」が全国に約700店舗ある一方、TSCは50店舗程度で出店余地は大きい。不採算店の統廃合にもメドがつき、新型コロナ下の「守りの経営」から紳士服事業の収益化を急ぐ。
(佐伯太朗)
[日経MJ 2021年11月17日付]
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