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国連環境計画と各国の金融機関でつくる国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP・FI)は、持続可能性に配慮した金融事業を推進するため1992年に設立された組織だ。その特別顧問を務める末吉竹二郎さんは、国際金融マンから地球環境問題の「唱道者」に転じ、早くから気候変動への思い切った対応を日本政府や産業界に訴えてきた。「大きく変わりつつある価値観や社会のありようを見定められることが現代のリーダーの条件」と話す。

――末吉さんは現代のリーダーに何が求められていると考えますか。

「生身の人間である以上、健康であることがまず大事。明るさ、ユーモアのセンスも大事でしょう。しかし今のような時代のリーダーに最も強く求められるのは自分の価値観をしっかり持つことです」

「時代認識と言い換えてもいいでしょう。世界がどこからどこへ向かっているのか、世界の人々が何を大事に考えているかをはっきり認識している人物がリーダーにふさわしいと考えます」

「こんな例え話があります。経済学者のカール・マルクスとアダム・スミスは生きた時代が100年ほど違いますが、同じことを言っていたそうです。2人とも『水と空気はタダだ』と」

「今では水も空気もタダとは考えられません。温暖化ガスを排出して空気を汚すような行為にはお金を支払うことが求められます。昨日までグッド(善いこと)とされていたことが、あすからはバッド(悪いこと)だと、価値観が大きく変わりつつある時代に私たちは生きています」

「リーダーの条件として統率力や指導力などがよく挙げられますが、部下や国民を統率して『どこへ連れて行こうとするのか』が大事です。グッドとバッドの境界線が大きく変わりつつあることに早く気付き、目指すべき方向を指し示す力が求められます」

国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問 末吉竹二郎氏

国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問 末吉竹二郎氏

――自らの価値観をしっかり持って活動したリーダーとして、最初に誰が思い浮かびますか。

「第7代の国連事務総長を務めたコフィー・アナンさんは尊敬すべきリーダーだと思います。彼は1999年にダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に招かれ、世界のビジネスリーダーたちの前で演説をしました」

「内容を私なりに平たく言い換えると、グローバリゼーションでビッグビジネスが利益を上げているが、その陰で何が起きているか、みなさんはご存じですかと彼は問いかけた。そして貧困や格差、環境破壊など、世界で起きている問題に取り組むべき責任があるのはあなた方ではないですか、と諭したのです。ビジネスリーダーたちはアナン氏の言っていることの意味を理解しました」

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