歴史から学ぶリーダー像 次代の理想はジョン・レノン『リーダーシップ進化論』

あなたはリーダーの役割をどう説明するだろうか。メンバーを叱咤(しった)激励すること? それともやさしく包み込むこと? 責任をとらされる汚れ役、という方もおられるに違いない。

そんな個人視点のリーダー観を大きく更新してくれるのが、本書『リーダーシップ進化論』である。なんと人類史を通観し、生物学や心理学の知見も援用しながら、社会環境とリーダーシップの進化の歴史を考察。人類誕生以前から、農耕社会やルネサンス時代を経て、インターネット普及以降といった壮大なスケールで、時代に求められるリーダーのあり方を考察している。

著者は、仕事と介護の両立を支援するリクシス(東京・港)の共同創業者で、副社長の酒井穣氏。光学エンジニアや大学教授など多彩な経歴を持つ。

なぜあなたがリーダーなのか?

いつの時代も、組織は放置すれば成り行き任せ(本書では自己組織化と呼ぶ)となり、環境変化に対応できずに破綻すると著者は論じる。だから流れにあらがい、強い価値観を持って組織を存続させていく存在として、リーダーが必要なのだ。同時にリーダーは、なぜあなたが適任なのかと正当性を常に問われる存在でもある。

現代のリーダーたちは、いかに組織内部に愛を示せるか、いかに外部に対して積極的に働きかけられるかという2つの軸で評価されることが多いだろう。これも進化のたまものだ。歴史をひも解くと、リーダーに求められる資質や役割は、組織が置かれた状況に合わせて組み合わされ、巧みに形を変えてきたことが分かる。

著者は過去から現在までのリーダーを6つの類型に分けている。例えば「家族型」はもっとも原始的で、疑似家族的な配慮でメンバーを束ねる。指揮命令系統が明確な「順位型」は、農耕社会化以降、資源の管理や栽培する食料の生産性向上、他集団との渉外など役割がより複雑化したことが誕生の背景にある。どの類型も現代のリーダーシップに引き継がれており、優劣があるわけではないと著者は強調する。

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地球規模で考えるリーダー