初心者ランナーに「完走の喜びを」 アシックス

アシックス「ゲルカヤノ」初代モデル(奥)と最新モデル

アシックスのランニング用シューズ「ゲルカヤノ」は初心者ランナー向けに「完走の喜びを身近に」という考えで作られたシューズだ。1993年に発売して以降、毎年進化を続けてきたゲルカヤノは2021年発売のモデルで28代目になった。




「アシックスの中で、全ての機能で最上級にあるべき『アシックスの顔』」。アシックスジャパンのゲルカヤノの開発を担当する中村浩基さんはこう語る。

年間売り上げ300万足 アシックスの「顔」に

ゲルカヤノは年間300万足を売り上げるアシックスを代表するシューズだ。ランニング初心者のため着地の際の安定性を高める構造を採用した。また衝撃を吸収して脚の負担を減らすためのゲルも特徴だ。

ゲルカヤノが生まれたのは1993年。米国向けランニングシューズのフラグシップモデルとして、当時の最新技術が詰め込まれた。アシックスはそれ以前にも高機能シューズを販売していたが、なかなか伸び悩んでいた。

初代の開発責任者である榧野(かやの)俊一さんは「デザインなどがシンプルで、目立たなかった」と振り返る。機能性では評価される一方、米国の客からは「アシックスの良さは履かないと分からない」という声も上がっていた。

そこで、売り場で目立つ、当時としては珍しいデザインにしようと、固くて動きも軽やかなクワガタをモチーフに製作。当時の高機能シューズはデザインまで注力したものが少なかった中、街で履くスニーカーのようなデザインのシューズが誕生した。ゲルという名前と、榧野さんの名前を取って「ゲルカヤノ」と命名された。

それでも発売直後からヒットしたわけではなかった。転機となったのは6代目のシューズ。アシックススポーツ工学研究所(ISS)が製作に関わった時だ。ISSはクッション性、安定性など靴の8つの特徴を「八大機能」と定義し、それぞれの機能について数値化を目指していた。

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日米欧で人気 今夏にも29代目の発売予定