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産業革新投資機構CEO 横尾敬介氏

産業革新投資機構CEO 横尾敬介氏

官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)の横尾敬介最高経営責任者(CEO、71)は前経営陣が抜けた組織を立て直し、投資を通じて国内の業界再編や次世代産業の育成に取り組む。みずほ証券の社長時代にはサブプライムローンの事後処理にあたった。何度も危機を乗り越える中でたどり着いたリーダーの資質とは「私利私欲を捨てて判断をできるかどうか」だった。

――長いキャリアで初めてリーダーを意識したのはいつでしょうか。

「1990年代前半、41歳で日本興業銀行(現みずほ銀行)の資本市場部からシステム管理部に移ったときです。まだ銀行と証券会社に法的な垣根があり、興銀が証券会社をつくる計画がありました。証券業界を理解できる人間を配置したいということで、証券班のリーダーに任命されました。課長クラスです。ミッションは証券関係システムを開発・維持することでした」

「銀行や証券にとって心臓部ともいえるシステムをどう動かすかをずっと考えました。気が付いたのは自分一人では何もできないということです。私自身は『文系のためのコンピュータシステム入門』を買って読むようなレベルでしたし、1人1台コンピューターもない時代です。多くの人の考えをよく聞くという力がつきました」

――なぜ銀行マンになったのでしょうか。

「大学時代は日本を動かしたいという気持ちが強く、天下国家を議論するのが好きでした。一度は政治家を目指したのですが、父親から猛反対され、ゼミの先生に相談すると、産業再編で重要な役割を担っていた興銀を薦められました。昔はとにかく生意気でした。新入行員時の役員懇談で『頭取になりたい』と申し上げました。組織に入った以上トップにならないと意味が無いと思ったからです」

――今も昔も発言がストレートですね。

「支店の個人営業時代に『このままじゃ興銀はつぶれますよ』と副頭取に言ったこともあります。当時、興銀は割引金融債券『ワリコー』や利付金融債『リッキー』を販売していました。預かる金額が大きいこともあって、外回り営業では運転手付きのハイヤーを使っていました。個人向け商品では後発であり、焦りもあったのでしょうが、こんな営業姿勢に持続性はないと感じました。当然、副頭取には怒鳴られましたが」

――大きな組織の中でずけずけと物を言いすぎてマイナスはなかったのですか。

「興銀同期にも『横尾は最後までよく残ったよな』と言われます。ただ、大きな組織でも正しいと思ったことをしていれば、誰かが見てくれているのです。迎合をしたことはありません。運が良かったのかもしれません」

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