「ギブ・バック精神」礎に
「私が管理職になって米国のIBMに仕事で出向いたとき、女性役員が面会の時間を割いてくれました。秘書には忙しいと懸念を示されましたが、『どうせお昼を食べるんだから、ハンバーガーでも買ってきて、一緒に食べながら話しましょう』と。J―Winの活動の根本にもギブ・バックがあります」
――ロールモデルや目標ができると女性たちの意識は変わりますか。
「J―Winでは企業から送り込まれた女性管理職候補が1年間のプログラムに参加します。やる気はある女性たちなのですが、役員まで昇進したいと考えている人は最初は半分以下。講義や活動を通じてさまざまな刺激を受けることで、9割くらいは企業のリーダーを目指そうという意識に変わります。やはり取り組みは大事だと実感します」
――企業や経営者の女性活躍推進への本気度についてどう思いますか。
「企業経営者と話す機会がよくあります。海外経験があるトップも多いので、『海外では女性が生き生き働いているのに、帰国すると何か違うんだよね』という問題意識を持っている人は多く、対策を真剣に考える経営者が増えていることは喜ばしいことです。投資家や学生の目も厳しくなっているので、改革をしない企業はすぐに行き詰まるのではないでしょうか」
(砂山絵理子)
■子供の頃から目立つ存在
うちなが・ゆかこ 1947年香川県生まれ。71年東京大学理学部卒、日本IBM入社。95年に女性初の取締役に就任後、常務取締役、取締役専務執行役員などを歴任。07年にJ-Winを設立し理事長に就任、企業のダイバーシティ&インクルージョン推進支援活動に力を入れる。
子供の頃から背が高く目立つ存在だった。「上級生の男子にはからかわれましたが、同級生の女子からは『女性が学級委員をやってもいいわよね。ゆか子さんやってよ』と推薦されました」
うちなが・ゆかこ 1947年香川県生まれ。71年東京大学理学部卒、日本IBM入社。95年に女性初の取締役に就任後、常務取締役、取締役専務執行役員などを歴任。07年にJ-Winを設立し理事長に就任、企業のダイバーシティ&インクルージョン推進支援活動に力を入れる。
子供の頃から背が高く目立つ存在だった。「上級生の男子にはからかわれましたが、同級生の女子からは『女性が学級委員をやってもいいわよね。ゆか子さんやってよ』と推薦されました」
■お薦めの本
「自由からの逃走」(エーリッヒ・フロム著)
学生時代からの人生の指針です。自由を謳歌するのは大変なこと。何かに服従するのではなく、自分で考え、自分の価値観を持ち、自分で行動して、自分で責任を取る大切さを考えられる本。
「自由からの逃走」(エーリッヒ・フロム著)
学生時代からの人生の指針です。自由を謳歌するのは大変なこと。何かに服従するのではなく、自分で考え、自分の価値観を持ち、自分で行動して、自分で責任を取る大切さを考えられる本。
[日本経済新聞夕刊 2022年4月14日付]