腰から足にしびれ 座骨神経痛、歩行・排尿障害も

日経プラスワン

腰から足にかけて伸びる神経が圧迫されるなどし、痛みやしびれが出る。この座骨神経痛を放置すると、歩行・排尿障害につながるかもしれない。原因は腰まわりにある場合が多い。主な病気や対処法を知っておこう。

写真はイメージ=PIXTA

座骨神経は腰から太ももの後ろ側を通って足先まで伸びている。脳や脊髄のような中枢神経から広がる末梢(まっしょう)神経のひとつ。これが通っているお尻から足にかけて痛みやしびれを感じ、腰を曲げると足の痛みが強くなる。こうした症状を座骨神経痛と呼ぶ。

富山大学医学部の川口善治教授(整形外科)は「原因は9割以上が腰での神経障害。若いうちは腰椎椎間板ヘルニア、60代以降は腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症が多くなる」と指摘する。

脊椎(背骨)は複数の椎骨が積み重なり、間にある椎間板がクッションのような役割を果たす。くしゃみや重い荷物を持つなど何かの弾みでこの椎間板が破れて組織の一部(髄核)が飛び出すのが椎間板ヘルニア。靱帯や骨の変形などで脊髄が通る脊柱管が狭くなるのが脊柱管狭窄症だ。どちらも座骨神経の根元が圧迫され、お尻や足に痛みやしびれを感じるようになる。腰痛を併発しやすい。

急な動作によって起きた椎間板ヘルニアは「3~6カ月程度で飛び出した髄核が自然に消えることもある」(川口教授)。ただ必ず自然に治るとは限らないので注意しなければならない。脊柱管狭窄症は加齢による場合が目立つ。症状が進むと、痛みで休み休みでないと歩けなくなったり(間欠跛行(はこう))、頻尿や失禁が起こったりする。

東邦大学医療センター大森病院(東京・大田)整形外科の高橋寛教授は「脊髄から分かれて伸びる『馬尾』と呼ばれる神経に障害が起こると、排尿障害、男性では勃起障害が起こることがある。早く手術しなければ治らなくなる」と警鐘を鳴らす。