別の病気の可能性も考慮したい。川口教授は「がんが腰椎に転移したり、細菌感染したりして座骨神経痛が起こるケースがある。発症から3日たっても痛みが弱くならないときには整形外科を受診すべきだ」と助言する。

神経圧迫が長期間続くと、炎症が進み、マヒを起こすようになる。痛みは感じなくなる代わり、足をうまく動かせず、つまずきやすくなる。手術で圧迫を取り除いても、元のように回復はしないかもしれない。痛みが長く続くときは医療機関を受診したい。

座骨神経痛の治療にはロキソプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬やプレガバリンなどの鎮痛薬が使われる。神経の根元にステロイド薬や局所麻酔薬を注射するブロック療法、赤外線などで腰を温める温熱療法もある。

こうした治療をしても改善がみられない場合、手術が選択肢に入る。椎間板ヘルニアでは飛び出した髄核を切り取り、脊柱管狭窄症なら靱帯や骨を削って脊柱管を広くし、神経への圧迫を取り除く。「今はほとんど内視鏡で進めるので肉体的負担は少なく、1週間程度の入院ですむ」(高橋教授)という。

座骨神経痛を防ぐには脊椎への負担を減らすのが大切になる。正しい姿勢を心がけ、体重の増加に注意する。長時間のデスクワークも避けたい。座っていると体重のほとんどがお尻にかかる。高橋教授は「腰椎の椎間板にかかる圧力は立っているときの1・4倍」と説明する。足を組むなどすると、さらに負荷が高くなる。1時間に1回は席を立って動くようにしたい。

腹筋、背筋、大腰筋などの筋力をつけるのも脊椎の負担軽減につながるという。ただあおむけの状態から上半身を直角に起こす腹筋運動などは腰への負担が大きいのでやめておこう。

(ライター 伊藤 和弘)

[NIKKEI プラス1 2022年3月12日付]