日経MJ

2021/11/10

世界のデジタルネーティブがファンに

19年に資生堂傘下に入ったドランクエレファントは、創設者のティファニー・マスターソン氏がトラブルの多い自身の肌にあう化粧品を独自に開発したのが始まりだ。マスターソン氏がSNS(交流サイト)「インスタグラム」で消費者との交流を通して支持を広げ、電子商取引(EC)での販売が20年9月時点で6割を超えるなど、デジタルコミュニケーションにたけたブランドでもある。

日本でもデジタル施策を重視し、販売も初めはオンライン中心だ。対話アプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントや、三越伊勢丹の化粧品ECプラットフォーム「meeco(ミーコ)」で情報発信する。実店舗は化粧品店「イセタンミラー」の首都圏2店舗で扱うほかは、ドランク イン トーキョーのような期間限定店となる。

とはいえ、肌につける化粧品は実際に試してから買いたいというニーズもある。自分に合った「スムージー」作りを体験でき、ブランドの世界観を発信する場として、実店舗を活用する。

資生堂ジャパンの渥美馨友グループマネージャーは「母として子育てをしながらビジネスを立ち上げた創設者のあゆみと、成分へのこだわりに共感を集められれば」と話す。これまで海外で製品を購入していた顧客からは「日本上陸を楽しみにしていた」という声も届いているという。

資生堂はドランクエレファントを約900億円と、同社として2番目に大きな規模で買収した。スキンケア分野とデジタル化に注力して海外展開を進める資生堂にとって、世界でデジタルネーティブ世代のファンもつブランドとして期待がかかる。

(増田由貴)

[日経MJ 2021年10月13日付]

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