――99年にさくら銀行(当時)を辞め、なぜ独立系投資ファンドに移ったのですか。

「銀行では営業、融資、M&Aなどに取り組んでいました。どれもやりがいがある仕事でしたが、バブル経済がはじけてから不良債権処理問題が噴出。組織の意思決定がなかなか進まず、ストレスを感じるようになっていった」

仕事の優先順位を明確に

「そこで『自分が大企業にいるからいけないのだ』と悟り、旧三井銀行時代の先輩、佐山展生さんらが共同創設したユニゾン・キャピタルに入ることにしたんです。小所帯でサクサクと物事が決まってゆくので楽しかったですね」

――経営再建で成功する確率を上げるため、リーダーとして何を実践しましたか。

「投資ファンドは50枚くらいの皿を同時に回しているような忙しさ。常に走りながら考えるようになります。いくらでも失敗はありますが、変化する状況を見ながら必要な修正を繰り返してゆく。『おかしいぞ』と思ったら放置しない。重要なことは一瞬で決まります。変化を見逃さず、チャンスを機敏にたぐり寄せる。最終的に51対49で相手を上回れば勝てるわけです」

「とにかく素早く動くこと。手数もなるべく多い方がいい。臆しているくらいなら、相手や関係者に電話し、会って、代替案を提示してみる。胆力、粘り、根性の勝負です。あきらめたら他者を利するだけ。運をつかむ人は常にアンテナを張り続けています」

――会社経営で陥りやすいワナはありますか。それにどう対処すべきですか。

「『やった方がいい』くらいのことは、むしろやってはいけないと肝に銘じています。『やった方がいい』ことは社内に山ほどある。でもそればかりしていると、『本当に重要なこと』をする時間がなくなる。社員も『やった方がいい』ことをしているので問題が表面化しにくい。理由も分からず、業績悪化に陥るケースは意外に多いものです」

「まず優先順位を明確にすることがリーダーの役割でしょう。『やった方がいい』ことは大胆に切り捨て、『本当に重要なこと』に集中すべきです。大抵は重要なことの方が難しいので社員は敬遠しがちになる。そんな盲点を見抜いて改善しないと組織は間違った方向に進んでしまう。こうした心得は知り合いの経営者から教えてもらいました」

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社員が喜ぶ再生が理想