長期的視点で「良い企業」残す 胆力・粘り・根性勝負インテグラル 山本礼二郎代表取締役(下)

インテグラル代表取締役 山本礼二郎氏

投資ファンド、インテグラルで代表取締役を務める山本礼二郎さん(61)の人生の転機になったのが三井銀行(現三井住友銀行)時代の社費留学。M&A(合併・買収)や企業再生、起業家精神、リーダー論などを基礎からたたき込まれた。「自分の力を試したい」と大銀行のサラリーマンを辞めたのが1999年。「良い企業を社会に残す」ことを人生の目標に掲げる。

――米国のリーダー教育はどのような印象でしたか。

「89年に米ペンシルベニア大学のウォートン校(経営学)とローダー研究所(国際関係論)に留学しました。それまで海外には縁がなかったので見聞を広げようと思い立ったんです。米国でのリーダー教育は徹底していました。どんな小さなこと、たとえば身近な掃除当番を決めることでも『リーダーシップを発揮しろ』と発破をかけられる」

「『そういう人間でないと企業経営はできない』ということでしょう。リーダーをどれだけ輩出したかも大学間で競っており、学長から教授まで学校全体がとても熱心なのも私にとっては驚きでした」

米ペンシルベニア大学ウォートン校で学友(右)と。指導教授のモルツ氏からリーダーシップや起業家精神を学ぶ

――留学生活を通じて最も役立ったことは何ですか。

「印象深かったのは指導教授だったエドワード・モルツさんの授業。『もし君たちがビジネスを始めるならば、確率で言うと最初の1~2回はほぼ失敗するだろう。それを前提に4~5回で成功できるように計画しなさい』と言うのです。当たり前なことのようですが、改めて言われると『あ、なるほど』と目からうろこが落ちる思いでした」

「起業するにはまず失敗を前提に人、モノ、カネなど経営資源をどう投じるか考えないといけません。失敗した場合、友人や家族を巻き込んで大丈夫か。貯金はあるのか。銀行や知人から借りるのか。それに困らないくらいの余裕を持ち、すべてを事前に計算しておけというわけです。リスクを現実的にとらえ、計画を慎重に練り上げる姿勢はその後、私のビジネスマインドの基本になりました」

「在学中にシカゴの米コンサルティング会社A・T・カーニーで4カ月、研修したことも視野を広げるうえで役立ちました。クライアントにプレゼンする場面も見学できたし、某化学会社の研究投資と成果を評価するチームで作業を手伝うこともできた。職場での生の英語や上司・部下のヒエラルキーを肌身で体感できたのも貴重な経験です」

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