日経プラスワン

肌や環境への影響を考え、重曹やクエン酸といった素材を活用した「ナチュラル洗剤」に注目する向きもある。山口さんは「弱アルカリ性のセスキ炭酸ソーダを試してみる手はある」と助言する。

セスキ炭酸ソーダは重曹や炭酸ナトリウムで構成されており、結晶状で水に溶けやすい。スプレー容器に水を500ミリリットル入れ、小さじ半分から1杯程度加えてよく混ぜ、汚れに吹き付けて使う。「一般的なアルカリ性洗剤に比べれば汚れを落とす力はやや弱いが、小さな子どもやペットのいる家庭では安心して使えるのが利点」と山口さん。

アルカリ性の洗剤が使えない場合にはpH6~8程度の中性洗剤を活用しよう。スポンジなどで泡立ててから塗りつける。30分ほどそのままにし、お湯でぬらした布巾やタオルで拭き取る。

洗剤の働きを十分引き出すには時間をある程度かけて汚れに浸透させる必要がある。さらには温度にも気を配りたい。油汚れはとりわけ温度が低い状態では落ちにくい。場合によってはお湯を使う、ドライヤーで温風を当てる、といった方法も有効だ。

木村さんも山口さんも「汚れが付いてしまっても、まだ温かいうちに拭き取れば洗剤を使わなくても落とせる」と指摘する。ただ普段から気をつけてはいても、見落としがあったり、忙しくてつい後回しにしてしまったりする。

だからこそ大掃除が必要になるわけだが、そうはいっても長時間かけるのは大変だ。汚れに合わせた洗剤を選び、少しずつ掃除を始めて、きれいな台所で新年を迎えよう。

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電子レンジもきれいに

コンロやグリルと同様、油汚れがたまりやすいのが電子レンジだ。カジタクの山口さんは「食品カスが落ちていたり、液だれがあったりと、レンジの内側は想像以上に汚れていることが多い」と指摘する。

掃除するときは温めたタオルや布巾を活用したい。ぬらして軽く絞り、レンジで1~2分温める。加熱後は注意して取り出し、レンジの内側の汚れを拭き取っていく。汚れを落とすポイントは水分と温度だという。扉をはじめ外側にべたつく汚れがあるときはマイクロファイバークロスを使うとよい。試してみよう。

(ライター 藍原 育子)

[NIKKEI プラス1 2022年11月12日付]