デザインファームに学ぶ「マーケ思考」 第2回

埼玉県を中心に78店舗(2022年12月現在)を展開しているスーパーマーケットチェーン「マミーマート」(埼玉県東松山市)が好調だ。19年から始めた新業態「生鮮市場TOP!」への業態転換が成功し、転換後の売り上げは転換前と比較して約2倍。成功の陰には、デザインファームのMIKATA(東京・渋谷)と取り組んだリブランディングがあった。

「生鮮市場TOP!」(写真は坂戸八幡店)。画像提供/マミーマート(店舗写真、以下同)
「生鮮市場TOP!」(写真は坂戸八幡店)。画像提供/マミーマート(店舗写真、以下同)

業態変更した店が軒並み、売り上げが2倍に

 マミーマートの設立は1965年。2016年まで埼玉県を中心に店舗数を約70店舗まで増やしたが、ヤオコー、ベルクなどの競合店に押され、埼玉県内のスーパーでは3番手のポジションだった。3代目の社長である岩崎裕文氏はその状態を打開しようとさまざまな新業態店を模索したが、思うような結果を出せず、18年には12億円の損失を計上した。

既存業態の「マミーマート」(写真は八潮伊草店)
既存業態の「マミーマート」(写真は八潮伊草店)

 そんなときに着目したのが、父親である2代目社長が鮮魚や精肉の専門店をテナントにして展開していた「生鮮市場TOP」。一般のスーパーでは手に入らない専門店ならではの品ぞろえと価格がその理由だった。岩崎氏は、この業態を自社仕入れでできないかと考え、仕入れをゼロから見直し、19年からマミーマートの一部店舗を「生鮮市場TOP!」に業態変更。この戦略が成功し、売り上げは業態転換前の約2倍となった。

 仕入れシステムの変更と並行し、MIKATAと約1年をかけてリブランディングを実施。「料理好きが週に1度は行きたくなる店」をコンセプトに展開したイメージ戦略転換も成功し、22年の売上高は1300億円を記録した(会計基準変更前の基準なら営業収益は1425億円で過去最高)。

生鮮市場TOP!への業態転換で、売り上げは転換前の約2倍に
生鮮市場TOP!への業態転換で、売り上げは転換前の約2倍に

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