シトロエンC5エアクロスにPHEV ゆったり重厚なSUV

2021/10/17
シトロエンC5エアクロスSUVプラグインハイブリッド(FF/8AT)
webCG

「シトロエンC5エアクロスSUV」にプラグインハイブリッドモデル(PHEV)が追加設定された。先に上陸しているプジョーやDS版と決定的にちがうのは、このクルマが“トラクシオン アヴァン=前輪駆動”であるということだ。果たしてその仕上がりは?

シトロエンは後回し?

プジョーやDSと比較すると(旧グループPSAでは)シトロエンだけ少し電動化が遅いように思えるかもしれない。プジョーとDSは昨2020年にそろって電気自動車(EV)を日本発売して、この2021年春には「3008」や「DS 7クロスバック(以下、DS 7)」のPHEVを次々と追加した。その時点で、日本仕様のシトロエンには電動化モデルが一台もなかった。

ただ、画期的な1人乗りマイクロ電気自動車の「アミ」がシトロエンから市場導入されるなど、本国でシトロエンの電動化が意図的に遅らされているわけではなく、タイミングの問題が大きい。たとえば「C3」や「C3エアクロスSUV」などのシトロエンのBセグメントにEVが用意されないのは、これらの骨格設計がEV化に対応した「CMP」プラットフォームではないからだ。C3の本国発売は2016年、C3エアクロスSUVのそれは2017年で、ともにひとつ前の「PF1」プラットフォーム最終期に開発された商品である。

今回の主題であるC5エアクロスSUV(以下、C5エアクロス)のPHEVにしても、DS 7や3008のそれより遅いわけではない……と思ったら、PHEVの本国デビューはDS 7が2018年、3008が2019年で、C5エアクロスは2020年だった(汗)。シトロエンが特別に遅らされているわけではないが、序列としては電動化推しの強いDSが最優先で、3008は先代で同社初のハイブリッドを用意した記念碑的モデルでもあり、結果的にC5エアクロスが最後発にされた感もある。まあ、こういう新技術モノは、最初は慎重を期して1台ずつ市場導入されていくものなので、タイミングに差が出てしまうのはいたしかたない。

というわけで、C5エアクロスPHEVだが、中身は先行したDS 7や3008のそれと基本的に同じといっていい。ただ、先に上陸した2台が後軸にもモーターを備える4WDでシステム出力300PSなのに対して、C5エアクロスは「プジョー508 GTハイブリッド」と同様に、後軸モーターを省略したFFで、システム出力も225PSとなっている。現時点では本国にも4WDの用意はない。

2021年6月24日に発売された「C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド」。日本で販売されるシトロエン車としては初めての電動化モデルだ。
外観における純エンジン車とのちがいはごくわずか。ボディーサイドやバンパーを飾る「エアバンプ」にはブルーのアクセントがあしらわれる。
フロントフェンダーの後ろに貼られた「h」バッジ。上に「hybrid」の白文字が描かれている。
ヘッドランプはLED式。かつてガソリン車やディーゼル車はハロゲンランプが標準装備となっていたが、2021年4月の一部改良で全車でLEDがスタンダードになった。

アイシン製ハイブリッドの持ち味

この事実をもって「やっぱりDS 7や3008のほうに力が入ってる?」とふたたび嫉妬するシトロエニストもいるかもしれない。だが、これもタイミング的な要素が大きく、本国ではこのクルマと同時期に、DS 7や3008にも225PSのFF版が追加された。欧州ではこうしたSUVでも4WD需要は小さい。それとは反対に4WD人気が高い日本のシトロエニストは、ここでもまた嫉妬心にかられるだろうが、いずれにしても今後は4WDが限定的存在になっていく可能性が高い。

それはともかく、このC5エアクロスを筆頭に、DS 7に3008、508といった同じ「EMP2」プラットフォームを土台とするPHEVにおいては、パワートレイン構成は後軸モーターの有無以外、基本的にすべて共通である。核となるのは1.6リッターターボエンジンとアイシン製の1モーター式ハイブリッド「e-EAT8」で、13.2kWhの駆動用リチウムイオン電池容量も全車共通だ。

日本のアイシンが供給するハイブリッドシステムは、既存の8段ATをベースとして、トルクコンバーター部分に1基のモーターと2組の湿式多板クラッチを内蔵する。これにより、エンジンのみ、モーターのみ、エンジン+モーターという3種の駆動パターンを自在に使い分けられるうえに、もちろんエンジン発電や回生による充電も可能である。こうしたフルハイブリッド車に近い機能を、通常のエンジン車とほぼ変わりないスペースにおさめられる点が、このアイシン製1モーターハイブリッドの大きな特徴である。

最高出力180PSの1.6リッターターボエンジンと同じく110PSの電気モーターで前輪のみを駆動。システム出力は225PSと公表されている。
インテリアは濃淡のある2種類のグレーとブラックでコーディネート。車内の空気を自動的に浄化する「エアクオリティーシステム」を標準装備する。
12.3インチのフル液晶メーターは青基調の表示となる。エンジン車と同様、スピードメーターやタコメーターはシトロエンならではの個性的な表示だ。
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