日経MJ

高い縫製技術を医療分野に活用

「メディキュア」から発売された「低刺激インナー」

同社は1896年設立。当初は製糸業者だったが、肌着を始め製糸関連の技術を生かし、様々な領域へと事業を拡大してきた。1980年代後半からは手術用の縫合糸製造をきっかけに人工皮膚や骨の接合剤など医療分野にも進出。新規事業の検討にあたり、質が良いとの評判を得た衣料品の製造技術を医療分野にも生かすことになった。

こうして2016年に誕生したメディキュアの第1号商品が「低刺激インナー」だった。乾燥により肌が荒れたり湿疹が起きたりする人が抱える「縫い目と肌がこすれて荒れる」といった悩みに応えるため、同商品は完全無縫製なインナーシャツとして作られた。こすれても痛くなりづらいレーヨン混の生地を使っている。

その素材や切ってもほつれない特徴を知った看護師ら医療現場の人々から多くの要望が集まり、その後の商品開発につながった。グンゼQOL研究所の上島進室長は「患者と日常的に接する現場の医療関係者からは、私たちの想像以上にさまざまな要望が届く」と話す。低刺激インナー以外の商品はいずれも、現場の声がきっかけでできた商品だという。

現在メディキュアはオンラインストアや直営店などで販売。カタログを置く診療所もあるという。グンゼの技術を健康や医療のために生かす「QOL研究所」で、大学などの研究機関と連携し商品開発を進めている。上島室長は「商品開発を進め、これからも様々な困りごとの助けになりたい」と意気込んだ。

(川野耀佑)

グンゼが16年から販売する肌着ブランド。肌着の開発で培った完全無縫製などを生かし、患者の肌への刺激を和らげる商品を販売する。乳がんの手術を受けた人を対象にした「前開きハーフトップ」(3300円)、放射線治療を受けた人には「ネックカバー」(2200円)などがあり、現在は9種類の商品を展開している。

[日経MJ 2022年5月13日付]


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