「第31回 日本文具大賞2022」では2つのグランプリに加え、8社が機能部門やデザイン部門で優秀賞を獲得。いずれも新しい機能を考えたりデザインを工夫したりすることで、今までにない商品に仕立てている。その中から、6社の商品を紹介する。

 機能部門の優秀賞には、プラス(東京・港)の消しゴム「Cluttoくるっと」などが選ばれた。Cluttoはプラスチックケースに入った消しゴムで、下部をくるっと回していくと、消しゴムが繰り出される構造を開発した。紙のケースに入った消しゴムでは、「使っていくうちに消しゴムが小さくなり使いにくくなる」「紙が破れる、ちぎれる」といった課題があった。そこで消しゴムを使い切るまで握りやすいように、ケースを六角形状にて、ケースの厚みも工夫した。スティックのりの構造を参考にしたという。ケースは繰り返し使え、消しゴムを詰め替える。商品はグリーン、ピンク、ブルー、イエロー、パープルの全5色。2022年3月に発売し、計画以上に売れた。

プラスの消しゴム「Cluttoくるっと」は、ケース下部をくるくる回転させると、適量の消しゴムを出すことができる
プラスの消しゴム「Cluttoくるっと」は、ケース下部をくるくる回転させると、適量の消しゴムを出すことができる
消しゴムを最後まで繰り出せる方式にしており、小さくなっても無駄なく使い切ることができる
消しゴムを最後まで繰り出せる方式にしており、小さくなっても無駄なく使い切ることができる

(写真提供/プラス)

日常のモヤモヤを商品に

 印友舎(東京・文京)の「ドアPETAハンコ」は、強力磁石でドアなどに貼れるハンコ。マスクや鍵などを掛けるフックになるほか、メモなどを留めることもできる。キャップの先端部分をドアなどに貼った状態で、ハンコだけを抜き取って押印すればよい。ハンコの場所が分かるので、すぐに使うことができる。

 1951年に創業した印友舎は主に郵便局や法務局関係などにハンコを製造・販売するBtoB(企業向け)が中心の企業。そこでBtoC(消費者向け)にも力を入れるため、21年10月より自社ECサイトを開設し、オリジナル商品としてドアPETAハンコを販売した。開発当時は新型コロナウイルス禍によって行動が大きく制限され、日々の生活の中でハンコが一役買える場面はないかと考えた。そこで、宅配便の受け取りの際にハンコがなかなか見つからないといった課題を解決すべく、すぐに取り出せるハンコを目指した。キャップとハンコの間が緩いとキャップが簡単に取れてしまい、固すぎるとハンコを抜き取るのが難しいため、生産工場で何度も試作品を作り直し、0.01ミリメートル単位までこだわった。21年10月に販売し、半年で約3000個が売れた。

印友舎の「ドアPETAハンコ」は八角形なので落ちても転がりにくい
印友舎の「ドアPETAハンコ」は八角形なので落ちても転がりにくい
ドアPETAハンコを玄関に貼って、そこにマスクを掛ける。宅配便が来たら玄関でマスクを装着してドアPETAハンコを取り出しドアを開ける、という流れを想定している
ドアPETAハンコを玄関に貼って、そこにマスクを掛ける。宅配便が来たら玄関でマスクを装着してドアPETAハンコを取り出しドアを開ける、という流れを想定している

(写真提供/印友舎)

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