ひらめきブックレビュー

モチベーションを保つには? 心のメカニズムから学ぶ 『モチベーションの心理学』

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新年度を機に、運動不足を解消しようと夜間にランニングを始めた。だが、2日もするとおっくうになってしまった。ランニング後のご褒美に好きな飲み物を飲むなどの方法を試したが、やる気がよみがえってこない。

同じように、一度消えたモチベーションが復活しないと悩む人は少なくないはずだ。では、モチベーションが上がったり下がったりするのは、どういうメカニズムなのだろうか。

本書『モチベーションの心理学』は、そんな疑問に答えてくれる。慶応義塾大学教職課程センター教授で教育心理学を専門とする著者の鹿毛雅治氏は、必ずやる気が高まる万能の処方箋はないと説く。その上で、心理学の研究を一挙に紹介しながら、モチベーションの正体に迫っている。

■モチベーションはダイナミックな心理現象

まず押さえるべきは、モチベーションとはそもそもダイナミックに揺れ動く心理現象であるという著者の指摘だ。どういうことか。

いつでも何にでも意欲が湧く人はいないはずだ。その人の性格や取り組む対象、外部環境などによってモチベーションは変化する。その時々の身体の状態、感情や思考も、全てモチベーションに影響するという。「スイッチが入る」とよく言うように、ゼロかイチかしかないと考えがちだが、モチベーションとはその両極の間で絶えず揺らぐような複雑で微妙な心理現象のようなのだ。

冒頭の私の例でいえば、ランニングに「行くか、行かないか」ではなく、もっと丁寧かつ繊細に「どのくらい行きたいのか」「行きたさはどう変わってきたか」などと自分のモチベーションの状態をモニターしてみるとよさそうだ。

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