Men's Fashion

40年色あせぬ遊び心、男女とも魅了 「タケオキクチ」

ブランド VIEWS

2022.8.21

紳士服から雑貨まで幅広い商品を取り扱う(タケオキクチ渋谷明治通り本店)

ワールドの主力ブランド「タケオキクチ」は2024年に40周年を迎える。紳士服販売から始まったが、カジュアルな衣料に領域を拡大。足元では雑貨販売や電子商取引(EC)を強化し、男性客に限らずプレゼントを探す女性客の需要も取り込む。時代に合わせて、商品や販促を変化させてきた。




創業時のデザイン守る 世の中のニーズも拾う

「タケオキクチの強みは、デザインの独自性を維持しつつ、世の中のニーズをしっかり拾っているところ」。タケオキクチを手がけるワールド子会社、エクスプローラーズトーキョー(神戸市)の尾関修司社長はこう語る。初代デザイナーの菊池武夫氏(83)は設立当時から一貫して商品のデザインを手がける。創業時のデザインを守りつつ客層を拡大している。

タケオキクチは英国風を基調として、菊池氏の「遊び心」を加えたデザインが特徴。一般的ではなかった細身のスーツや丈の長いウールコートをはやらせ、ブランドの認知度を高めた。

タケオキクチは1984年にワールドが初めて手がけたデザイナーズブランドとして始まった。当初は、流行に敏感な20~30代の男性向けに「仕事終わりに私用で着用できる遊び心のある商品」(尾関社長)として訴求した。

2000年代に入ると、百貨店に進出。スーツやジャケットなどのビジネス商品を拡充した。当時の顧客の多くは1970年代前半に生まれた「団塊ジュニア」世代だ。学生から社会人になる時期に、量販店以外のブランドで「デザインにこだわりたい」という客を取り込んだ。当時の主要顧客層は2020年代には50代を超え、固定客として定着しブランドを支えている。

一方で、苦境にも直面した。仕事着のカジュアル化で、スーツ市場は縮小している。総務省の家計調査によると「背広服」の年間支出額は、ピーク時(1991年)の約2万円から、21年には10分の1程度になった。