冠攣縮性狭心症は日常生活に影響のない場合もあるが、やはり放置は禁物だ。胸の痛みが一過性だったとしても、早めにかかりつけ医に相談し、専門の医療機関を受診するようにしたい。
問診や血液、心電図、超音波などの検査で狭心症と診断されれば治療する。薬物治療のほか、冠動脈の内部に円筒形の網(ステント)を留め置き、血流を改善する「ステント治療」や「冠動脈バイパス手術」がある。冠攣縮性狭心症では薬物治療が中心だ。
薬は痛みの発作が起きたときに一時的に使う薬(ニトログリセリンなど)、発作を防ぐため日々継続して服用する薬がある。日常服用する薬には血管を広げるもの、血栓を防ぐもの、心臓の負担を減らすもの、高血圧や脂質異常症を治療するものなどがある。
治療中にもかかわらず、しばらく発作がないからと自己判断で薬をやめていて、体調が悪化するケースも少なくないようだ。木庭教授は「処方された薬の服用を勝手にやめないことが何よりも重要だ」と注意を促す。
狭心症は生活習慣病に加えて、喫煙やストレス、肥満なども関係するという。こうした要素が多いほど動脈硬化の危険が増し、発症しやすいことが分かっているそうだ。薬の服用などの治療はもちろん、食生活の改善や運動の習慣も欠かせない。
(ライター 坂井 恵)
[NIKKEIプラス1 2021年10月9日付]