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厚生労働省元次官 村木厚子氏

厚生労働省元次官 村木厚子氏

厚生労働事務次官を務めた村木厚子さんは今では大学教員や企業の社外取締役などとして、さまざまな場面でリーダー候補と向き合っている。これからの時代のリーダーに求められるのは「メンバーそれぞれの強みを生かすチームづくりだ」と感じている。

――どんな思いから旧労働省に入省したのでしょうか。

「ずっと働き続けたいという希望をかなえられそうなのが旧労働省でした。自分で食べていけるのが大人だと思っていたのです。当時、高知で四大卒の女性は公務員くらいしか選択肢がありませんでした。第1希望は高知県庁でしたが、面接のときに『女性職員の仕事はね……』と説明されて、ここで働き続けるのは難しいかもしれないなと思いました」

「地方公務員試験の練習のつもりで受けた国家公務員試験で、幸い合格通知が来ました。働き続ける可能性にかけて、上京を決意しました。当時の労働省は今でいう多様性を意識していたのだと思います。女性や地方出身の学生に寛容で、私も採用してもらえました」

――同僚の夫と協力しながら娘2人を育ててきました。

「子育て経験は部下と接するうえでもプラスになりました。子どもたちが小さかったころのことです。庭にチューリップが咲き、上の子は『ママ、赤と黄色のチューリップが咲いたよ』と報告に来ました。下の子は『ママ、チューリップが3つ咲いたよ』。それが私にはとても新鮮に感じられました」

「色に着目する子と数を数える子がいる。同じ親から生まれ、同じように育てられた子どもたちでもこんなに違うんだから、年齢や性別、生い立ちがバラバラな部下がみな違うのは当たり前だとふに落ちたのです。個性ある一人ひとりを大事にしないといけない。気づいてからは部下を叱ったことはないと思います」

――部下の育成でどんなことに気をつけてきましたか。

「任せることでしょうか。29歳で長女を出産し、産休を取るときは気をもみました。そのとき部下だった1年目の男性が頼りなかったんです。ところが3カ月後に復帰したら、その彼がとても成長していてびっくりしました。部下を頼りなくさせていたのは私だったのです。この経験から部下に仕事を任せるよう心がけてきました」

「思うように仕事をしてくれない部下はいるものです。しかし、そのような人にも権威的にならない方がいい。あるとき要領を得ないので厳しく接した部下と地方で同僚になりました。その人のポストは予算を握り、今度は私がお世話にならないといけない状況になりました。そもそも上司は部下に仕事をしてもらわないとならない立場。偉そうにする必要はないのです」

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