2022年10月4日発売の「日経トレンディ2022年11月号」 ▼Amazonで購入する では、「歯医者の真実」を特集。コンビニより多いといわれる歯科診療所の数は全国約6万8000軒にも上り、その治療の質はまさに玉石混交だ。そこで最新の治療トレンドを押さえつつ、“良い歯医者”を見極める鉄則を調べ上げた。

※日経トレンディ2022年11月号より。詳しくは本誌参照

ダミーダミー
⻭科診療所の数は全国約6万8000軒にも上り、その治療の質はまさに⽟⽯混交だ

 新幹線に乗ってでも信頼できる歯医者に通う――。コンビニより多いといわれる歯科診療所の数は全国約6万8000軒にも上り、その治療の質はまさに玉石混交。地元ではなく県外にかかりつけ歯科医を持つ人も多い。しかし、素人にとっては“良い歯医者”の見極めは非常に困難だ。

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 「専門知識も特別な情報源もない自分では、歯医者を正しく選べない」と諦める必要はない。最新の治療トレンドを押さえれば、誰でもベストな歯科に近づくことは可能だ。

 特に判断が難しいのが、保険診療と自由診療が入り交じっている点だ。保険が適用される前者は治療費が安く済む。ただ、分野や症例によっては保険適用外で高額でも、自由診療を優先すべきケースも多い。治療法や使える歯科材料の幅が広がり、その後のQOL(生活の質)が向上するためだ。

 自由診療は、歯科によって扱う治療法が様々なのも厄介だ。基本的に歯科のホームページで受けられる治療が公開されているので、これを確認してから歯科に行くのが正解だ。この際、価格も要確認。保険点数により明確に金額が設定されている保険診療と違い、自由診療は各歯科が独自に設定する。地域によって相場が異なるケースも多いので、同じ治療でも必ず周辺歯科の価格は比較しておきたい。

 歯科の設備も要チェックだ。特に虫歯治療では、自由診療の専門的な治療に欠かせないマイクロスコープやセレックといった最新設備の重要度が高い。

 自由診療を選ぶべき代表例が、虫歯治療の被せ物。保険診療で安価に装着できるメタルクラウン(通称:銀歯)は、実は多くの歯科医が「歯を守り抜くには不十分」と警鐘を鳴らす。素材の強度や熱による変形リスクがあるため、数年経つと銀歯を装着した歯が再び虫歯に侵されることも多い。

 これに対応するには、セラミックやジルコニアを使用する自由診療に切り替える必要がある。選び方にもコツがあり前歯、奥歯によって最適な素材は変わる。中には、「ジルライトクラウン」という色味は選べないが、価格が安いといったものもある。他人から見えない部分の歯なら選択肢になる。

 また、最近一気に患者数が増えているのが「歯列矯正」。将来、虫歯などの治療を受ける際に、歯並びが悪いと治療法の幅が狭まるといった点からも重要度が高い。しかし、治療の形態が様変わりしており、歯科選びが難しい。

 従来のワイヤー矯正に対して、ここ数年で一気に頭角を現したのがマウスピース矯正だ。火付け役はオンライン診療を中心とした格安サービス。3DスキャンとAIによる矯正計画を基に、カスタムメイドのマウスピースが自宅に直接届き、経過観察も写真で行う。サブスク感覚で始められるが、人気に伴い失敗するケースも増加。日本矯正歯科学会が警鐘を鳴らす自体に発展している。リスクや歯科医の技術力をよく見極める必要がある。

 本特集では他にも、歯周病やホワイトニングなど様々な症例ごとの対策や治療・歯科選びの鉄則を調べ上げた。

データで見る

多過ぎる歯医者は玉石混交 急増する“美容”矯正市場

 日本全国には約6万8000軒もの歯科医院があり、コンビニより多いといわれる状況は変わっていない。国全体の歯科医療費は2019年までは上昇傾向で、自由診療の普及も進む。トレンド化しているのは歯列矯正分野。ここ数年で3倍以上に市場が拡大しており、手軽に始められると人気のマウスピース矯正の影響がみられる。

■国内歯科医院数の推移
注)厚生労働省「医療施設調査」を基に編集部で作成。2021年は令和3年1月末概数
注)厚生労働省「医療施設調査」を基に編集部で作成。2021年は令和3年1月末概数
■国民歯科診療医療費の推移
注)厚生労働省「国民医療費」を基に編集部で作成
注)厚生労働省「国民医療費」を基に編集部で作成
■矯正歯科患者数(初診)の推移
注)厚生労働省「患者調査」を基に編集部で作成
注)厚生労働省「患者調査」を基に編集部で作成

歯科治療を支える3つの最新トレンドを押さえる

最新トレンド1「“スゴ腕”設備」

歯科医のスキルの差を埋める

 歯科医の治療を補助する最新設備を導入しているかは重要なポイントだ。歯の状態を精査できるマイクロスコープは、以前よりもコストが下がり、取り入れている歯科も多い。ある程度は医師の“腕の差”をカバーできるので、安心感を得るためにも確認しておきたい。

マイクロスコープ(上)、3Dスキャナー(下)
マイクロスコープ(上)、3Dスキャナー(下)

最新トレンド2「保険vs自由診療」

「安けりゃ良い」は大間違い?

 歯科には数々の自由診療がある。保険診療に比べて有用な治療は多いが、相場の把握は知識がないと難しい。例えば、歯の被せ物を選ぶ際に強度は同じでも、見た目だけの問題で価格が半分程度といった素材もある。扱っている歯科も限られているので、治療の選択肢も事前に必ず確認すべき。

銀歯(上)、歯の被せ物は値段がバラバラ(下)。注)被せ物の価格はあくまで一例
銀歯(上)、歯の被せ物は値段がバラバラ(下)。被せ物の価格はあくまで一例

最新トレンド3「歯科DX」

歯の悩みを解決する最新ツール

 ITの力を使って効率よく歯の治療を行う流れもある。特に歯列矯正分野では、オンライン診療主体の格安マウスピース矯正が人気だ。ただし、新しい技術は歴史も浅く注意点もある。メリットとデメリットを正しく把握して利用したい。

オンライン診療(上)、マウスピース矯正(下)
オンライン診療(上)、マウスピース矯正(下)
注)「歯医者の真実」は、「日経トレンディ」2022年11月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
▼関連リンク 「日経トレンディ」(電子版)
「日経トレンディ2022年11月号」の主な内容を紹介
【歯医者の真実】
●オーラルフレイル
食べこぼしを放置すると要介護に!? 第一人者に聞く有効な対策
●虫歯
「オールセラミック」で虫歯治療後も白い歯を維持。「銀歯」は危険?
●歯周病
先端医療が保険適用。溶けた骨や歯茎が復活! 歯周病再生療法の実力
●歯列矯正
2~3年かかる歯列矯正が1年に。スピード矯正「JET System」
●ホワイトニング
白さ、回数、価格まで大違い! 導入システムで見極める
●ケアグッズ
歯ブラシから洗口液まで! 歯科医が選んだ逸品
●デンタルテック
歯周病発見AI、全自動歯ブラシ、再生治療薬……テック最前線
●歯医者のワザ
歯科矯正やインプラントは医療費控除の対象になる? ならない?
【スタートアップ大賞2022】
●大賞は、プレーに介入できる新感覚ゲーム「ミラティブ」
●新フードサブスクにネオFinTech…、新たな挑戦者続々
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