浮動性のめまいの治療にはいくつか方法がある。まず考えられるのが薬物療法だ。抑肝散(よくかんさん)や半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)といった漢方薬が使われるケースが多い。PPPDには抗うつ薬も活用される。

体を動かしながらものを見るといった訓練を通じて前庭の調子を整える「前庭リハビリテーション」もある。物部部長は「特に高齢で浮動性めまいがあるときはよく歩くのが大切。家にこもっていると筋肉や感覚器が低下し、悪化する」と助言する。

パニック障害や不安症の患者に用いる認知行動療法も選択肢に入る。対話を通じ、過剰にめまいを意識しないですむように行動の変化を促す。

室伏教授は「慢性めまいがあるときはとにかく医療機関を受診してほしい」と語る。深刻な病気がみつかることがあるからだ。例えば「小脳・脳幹梗塞で浮動性めまいが起こりうる」(室伏教授)。立てない、顔がしびれる、ろれつが回らない、などの症状もあれば可能性が高まる。

一方、回転性めまいの場合、原因の多くは三半規管にある。三半規管に異常が起こると、じっとしていても回転しているような感覚になる。

とりわけ多いとされるのが良性発作性頭位めまい症だ。耳石器では中にある「耳石」が体にあわせて動いて感覚細胞を刺激し、体の傾きを認識している。その耳石が何らかの原因で耳石器からはがれ、三半規管に入ることで感覚が混乱してしまう。

他にも耳の奥のリンパ液が増えすぎて三半規管を圧迫するとメニエール病になる。原因が明確にわかるため、浮動性めまいに比べると、治療の方針がたてやすい。

日本めまい平衡医学会のサイトではめまいについて相談できる医師を紹介している。気になるときは受診しよう。

(ライター 伊藤 和弘)

[NIKKEI プラス1 2022年1月8日付]