
夏は家族や友人とバーベキューに出かける人もいるだろう。野外での料理は屋内とは勝手が違う。ちょっとした油断が食中毒を引き起こしかねない。注意点を知り、楽しく味わいたい。
野外でバーベキューとなると、普段なかなか手が出せないような分厚いステーキを焼いてみたり、好みの魚介類を豪快に浜焼きにしてみたりしたくなるだろう。ただ気温が高い夏には食中毒に十分注意する必要がある。家族や仲間と楽しむ時間を台無しにしないように、対策の基本を知っておこう。
食中毒予防のための3原則は原因となる細菌などを「つけない」「増やさない」「やっつける」ことだ。
食中毒菌をつけないよう、調理する前にきちんと手を洗う。肉や魚は生のまま食べる野菜などの食材とは一緒にしない。クーラーボックスなど温度の低い場所に保管し、菌を増やさない。もちろん十分に火を通し、菌をやっつけるのも大事だ。
実際バーベキューをする場合を想定しながら、具体的に考えてみよう。
まずは菌をつけないための行動だ。水をためる「ウオータータンク」を準備しよう。水道がある公園だとしても、手が汚れるたびに往復するのが面倒になり、つい洗うのを怠るケースが少なくない。近くに水を用意しておけば、まめに手を洗えるだろう。
食材を扱うための「トング」も欠かせない。生肉に手で直接触れると、菌が付着し、そこから口や他の食材に移ってしまう可能性がある。生肉を扱うもの、焼けた肉を取り分けるときに使うものはそれぞれ別にして、少なくとも2本は準備しておきたい。
同じトングを使うと、生肉から焼き上がった肉に菌が移ってしまうかもしれない。これではせっかく焼いた意味がなくなってしまう。
焼き上がった肉を切り分ける場合でも、生肉を置いた皿やまな板などの上で作業するのは避けるようにしよう。トングと同様、菌が焼いた肉に付着しかねないからだ。食材を準備するときも同じだ。薄いまな板を複数持参して使い分ける、できるだけ家で下準備をすませて持ってくるといった工夫も考えてみよう。
菌を増やさないためには食材保管用に保冷剤を入れたクーラーボックスを持参する。すぐ食べるから大丈夫だとスーパーのレジ袋に入ったまま放置したり、冷凍保管していた肉を解凍しようと常温でバーベキュー会場まで運んだりするのはやめよう。食材の温度が上がり、菌が増殖しやすくなる。気温が高い夏場は特に注意しよう。
肉や魚、野菜といった食材を飲み物と同じクーラーボックスに保管していると、飲み物を取り出すたびに中の温度が上がってしまう。食材用、飲み物用と別々に用意できれば理想的だ。さらに中の温度をあまり上げずに保つため、日陰に置く。太陽光で温度が上がった地面には直接置かず、クーラースタンドなどの上に置くようにしたい。