2021/10/10

体験したことのない静けさ

Sクラスというからには快適性がとても重要だが、EQSはその点も文句なく世界トップレベルにある。まず乗り心地は、ロングホイールベースかつ低重心のシャシーと、連続可変ダンピングシステム「ADS+」を備えた標準装備のエアサスペンション「AIRMATIC」により、非常に滑らかでしっとり上質である。フロントが4リンク、リアはマルチリンクのサスペンションが、Sクラスと近い関係にあるというのにも納得である。

特筆すべきは静粛性の高さだ。EQSにはSクラスと同等の騒音対策が施されているが、加えて細部まで徹底的にこだわった空力処理によって、Cd値0.20という、量産車では過去最高のエアロダイナミクス性能を実現。さらにコンフォートモードでは120km/hを超えると10mm、160km/hを超えるとさらに10mm車高を自動で下げるAIRMATICにより、ドラッグを低減する。もちろんエンジンノイズはない。結果、かつて体験したことがない静寂な移動空間を実現しているのである。

そこで生きるのが「Burmesterサラウンドサウンドシステム」だ。15スピーカー、710Wのこのシステムは、もともと高い実力を備えていることは間違いないが、極めて静粛性に優れたEQSでは、ハイエンドホームオーディオに匹敵する上質なサウンドが存分に味わえる。これを理由にEQSを買う人がいても全く不思議はない。

リアシートでくつろぐのもいいが、ドライバーズカーとしての魅力も申し分ないEQSは、市場のEVに対する見方を大きく変える可能性を感じさせる、極めて先進的でハイクオリティーなラグジュアリーサルーンである。近い将来にEV専業となることを表明したブランドはすでにいくつかあるが、彼らはメルセデス・ベンツの本気に戦々恐々としているかもしれない。

(文=竹花寿実/写真=ダイムラー/編集=藤沢 勝)

後輪が最大4.5度までステアするリアアクスルステアリング機構を標準装備。さらにオプションによって後輪操舵角を最大10度にまで拡大することもできる。
徹底した騒音対策が施されている「EQS」では「Burmesterサラウンドサウンドシステム」の持ち味が最大限に生きる。
「MBUXハイパースクリーン」のセンターディスプレイではメニューを掘り下げずとも必要な項目に到達できる「ゼロレイヤー」を実現。AIの学習能力を使い、ユーザーに先回りして必要な機能を必要なときに表示するようになっている。
「自動コンフォートドア」を採用しており、ドライバーが車両から6mのところまで近づくとドアハンドルが飛び出し、1.5mにまで接近するとドアが自動的に開く。
■テスト車のデータ
メルセデス・ベンツEQS450+
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5216×1926×1512mm
ホイールベース:3210mm
車重:2480kg
駆動方式:RWD
モーター:永久励起同期式モーター
最高出力:333PS(245kW)/--rpm
最大トルク:568N・m(57.9kgf・m)/--rpm
タイヤ:(前)265/40R21 105H/(後)265/40R21 105H(グッドイヤー・イーグルF1 MO)
一充電最大走行可能距離:780km(WLTCモード)
交流電力量消費率:157Wh(約6.3km/kWh、WLTCモード)
価格:--

テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:4493km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(4)/山岳路(4)
テスト距離:304.6km
消費電力:--kWh
参考電力消費率:6.6km/kWh(車載電費計計測値)

[webCG 2021年8月5日の記事を再構成]

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