未来思考で先入観拭う 見えてきた気象観測衛星の開発ALE 岡島礼奈社長(下)

人工流れ星の事業化を目指すALE(エール、東京・港)の岡島礼奈社長(42)は、「働きやすく意見が言いやすい組織づくり」を進めてきた。明確なビジョンを示したうえで、メンバーの活躍を時には黒子として支える。スタートアップのトップは力強く引っ張るタイプも多いが、周囲を生かす「新しいタイプのリーダー」と自己分析する。風通しのよい組織から関連事業でも成果が出始めている。

――リーダーシップについてどう考えていますか。

「リーダーには自分についてこいというタイプと、メンバーを支えながら進めていくタイプの2つに分けられると思います。私は完全に後者です。会社は社長の器より大きくならないと言われますが、私はそうは思いません。自分よりも優秀な人を集め、さまざまな意見を取り入れて事業を拡大させていきたいです」

「メンバーが意見を出しやすい、働きやすい環境を作ることを考えています。メンバーがやりたいと考えたことに対してはとやかく言わず、まずは始めることを勧めます。もちろんALEのビジョンに貢献するものに限ります。私は軌道修正するだけです」

ALE社長 岡島礼奈氏

――メンバーの主導で生まれた成果はありますか。

「気象観測衛星の開発プロジェクトが2021年から始まりました。NTT、国立天文台、理化学研究所と連携して衛星を開発し、水蒸気のデータを収集することを目指すものです。実現すれば気象予測などにつながります」

「ALEは創業当初から大気のデータを活用することを事業構想に掲げてきましたが、徐々にビジネスモデルが見えてきました。集めるデータを水蒸気に絞ったのは、科学的知見が豊富なメンバーの発案です。専門的な知見を持つ人材が活躍し、私が理想とする形になりました」

――いつごろから宇宙に興味を持っていたのですか。

「中学生の頃から宇宙に関心を持っていました。東京大学に進学したのは、宇宙を存分に研究できる場所だと考えたからです。ただ、好きで選んだ天文学科で博士課程に進みましたが、自分は研究者には向かないと感じました。周囲には寝食を忘れて研究する人もいましたが、私はそこまで没頭できなかったのです」

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「強くないトップ」に親近感