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子どもの学習支援や居場所づくりに取り組むNPO法人「Learning for All(ラーニング・フォー・オール)」。李炯植(り・ひょんしぎ)代表理事は「子どもの貧困」という課題を「見える化」したいと考えて活動している。地域や企業を巻き込み、この理念に共感する「仲間」を増やすのが今の自分の役割だと感じている。

――子どもの貧困には様々な原因が絡み、行政や地域、学校など関係者をまとめるのも容易ではなさそうです。

「日本では子どもの7人に1人が相対的貧困にあるといわれます。栄養バランスの取れた食事をしたり、進学を目指して勉強したり、多くの人にとっての標準的な生活ができない状態です。近年は数々のメディアで取り上げられ、問題意識を持つ人は増えてきたと思います」

「それでも新たに支援拠点をつくる際、住民へあいさつに行くと、貧困は親の自己責任だとか、ひとり親が困窮するのは離婚した親が悪いといった言葉を掛けられることがあります。胸が痛みます」

――どのようにして理解者を増やしてきましたか。

「徹底して相手の立場になります。『相手の靴を履く』という言葉がありますが、丁寧に相手の話を聴きます。地域などで何か頼み事があるときでも、子どもの貧困についてどう思うか率直に聴かせてもらうのが出発点です。私たちも新しい選択肢に気付かせてもらいたい。対話を重ねれば、関係が深まります」

「もちろんそうした支援活動にどんな意義があるのか、なぜ協力者が必要か。自分自身で深く考え抜くことも大切です。ぶれない軸がなければお願いしている相手に思いは伝わりません」

――公的機関との連携はどう進めてきましたか。

「子どもが成長する瞬間を積み重ねることでしょうか。最初は学校や行政との信頼関係もなく、一体どんな手助けをしてくれるのか、試されている雰囲気を感じる時期すらあります。それでも活動に取り組み、子どもたちが変わり始めると、関係者全員が成功体験を得られます。それがやがて強固な連携の礎になっていきます」

「『うちには貧困の子どもはいません』と学習支援を断る校長もいます。私たちの支援が入ると、教員に余計な仕事が増えると警戒される場合もあります。こうした思いも受け止めながら、まずは一歩踏み出せればと思います」

ラーニング・フォー・オール代表理事 李炯植氏

ラーニング・フォー・オール代表理事 李炯植氏

――子どもの貧困問題に取り組む団体や個人は増えていますが、資金や人手に苦労するところも多いようです。

「幸いなことに企業や個人からの資金に支えられ、今のところ経営は順調です。とはいえ財源を主に寄付に頼っているNPO経営ならではの難しさは確かにあります」

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