社会を変えるパートナーに

「規模が拡大すれば、現場に加えて経理や人事、総務といった後方支援のスタッフも増えます。一方で支援した子どもから利用料を直接受け取らないため、支援拠点が増えるなどしても売り上げに直結はしません。事業を継続するためにどのようにして収入や人材を確保するかは常に課題だと感じています」

――企業や個人からの寄付はどう位置付けていますか。

「寄付に対する考え方が変わっていくのを期待しています。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から考えても、貧困は一丁目一番地といえるくらい重要な課題だと私は思います。日本社会が発展・成長するためにも、私たちのようなNPO団体の活動をより多くの人に知ってほしいと願っています」

「もちろん寄付をいただいたとしても、株式投資のような形でのリターンはできません。ただ現場で子どもが救われている、社会が少しずつ変わっている、といった結果を見せることがリターンになればと考えています。そうした思いを分かち合えるパートナーになってほしいのです」

子どもの貧困に関心を持ってもらおうと、活動の意義を訴える(2017年撮影)

――支援活動には多くの学生ボランティアが参加していると聞きます。何が学生たちを引き付けているのですか。

「延べ2500人以上の学生が支えてくれています。確かに賃金という対価はないですが、アルバイトなどとはまた違う濃密な経験はできると思います。子どもの貧困という問題に触れ、仲間と鍛え合い、将来の進路や生き方を考える機会になったとの感想が寄せられます。過去の自分とも重なります。私たちにとっては支援対象の子どもと同じくらい大切な存在です」

――10年ほど活動を続けてきて、印象に残っている出来事を教えてください。

「小学5年生から8年間関わってきた生活保護家庭の女子が志望大学に合格したときのことです。彼女は『自分の力で望む人生を歩き出せた』と胸を張っていました」

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