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日本M&Aセンター会長 分林保弘氏

日本M&Aセンター会長 分林保弘氏 

日本M&Aセンターの分林保弘会長は、社員が取引先にひたすら頭を下げるような「ゴリゴリの営業を強いるトップは失格だ」と話す。「自社の商品やサービスに自信を持ち、胸を張って仕事ができる環境をつくることこそトップの役割」との考えだ。自分たちが利益を得るだけでなく、顧客をも幸せにする。そんな「幸せを運ぶ青い鳥になる」という信念を掲げている。

――会社を経営するうえで何を重視していますか。

「仏教の『自利利他』という考えです。もうかれば何をやってもいいというのは間違いで、自利(自分の利益)を貪ってはいけません。利他(他者の利益を優先すること)が重要です。私は株主や顧客や社員などの『他』を優先することを理念にやってきました。おかげさまでM&A(合併・買収)ならこの会社と評価され、創業以来7000件以上のM&Aの仲介を手掛けることができました」

――厳しいビジネスの世界で「利他」を貫くのは難しいことです。

日本M&Aセンターの東証1部上場で鐘を鳴らす分林氏(2007年)

日本M&Aセンターの東証1部上場で鐘を鳴らす分林氏(2007年)

「会社がもうけ主義に走ると、社員は目標やノルマを達成するために何でもやってしまいます。まずは他者をおもんぱかることが大切です」

「この間もあるM&A案件を現場がまとめたのですが、私が『待った』をかけました。売り手は後継者がいない90歳の経営者でした。依頼に応じて買い手を見つけました。しかし買い手に銀行からの信用がなく、会社が売れても借金の個人保証が残る見通しになりました。これでは会社に何かあれば売り手の老後の生活が脅かされ、安心できません。M&Aがまとまると仲介手数料が頂けるところでしたが、キャンセルして廃業を勧めました。個人保証が残ったまま不安な老後を過ごすよりもよいと判断しました」

――リーダーとして、社員が頑張れる仕組みや環境をどのように整えていますか。

「当社のシミュレーションでは理念が明確な企業の収益力は、そうでない企業の6、7倍に達するとの結果がでています。社員一人ひとりが自信を持って取引先と交渉できるようになるからです」

「私は社員に『自分たちは幸せの青い鳥だ。取引先に幸せを運ぶ青い鳥になりなさい』と言っています。取引先を幸せにするのですから、無理にサービスをねじ込む必要はありません。値引きしたり、粘って粘って時間を無駄にしながら仕事をとってきたりする必要もありません。その方が総合的にみれば収益率は上がるはずです」

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