「K字経済」の今だから ベンチャーに学ぶ成長の条件『「K字型経済」攻略法 ポスト・コロナで躍進する11人のリーダーたち』

新型コロナウイルス後の「ポストコロナ」の経済傾向として「K字経済」という言葉が聞かれるようになった。業績を大きく伸ばす企業と、ガクンと落とす企業、経済が二極化する様子を「K」の字になぞらえたものである。こうした状況下で勝ち組となるには、どうすべきか。

本書『「K字型経済」攻略法 ポスト・コロナで躍進する11人のリーダーたち』はいま注目を集める11社のトップたちに経営哲学や難局での打開策をインタビューして、まとめたもの。K字経済の到来をイノベーション(技術革新)の好機ととらえるトップたちの意気込みやその人柄にも踏み込み、「リーダーの履歴書」として紹介するページも設けるユニークな一冊だ。

著者の鶴田東洋彦氏は、産経新聞社顧問で元常務取締役。著書に『天然ガス新時代』(にっかん書房)などがある。もう一人の著者、松岡健夫氏は、同社編集局経済部編集委員を務める。

独創的な分野を切り開くか、業態革命か

本書に登場する企業は、不動産や物流、ITと業界は様々だが、戦略を大別すると次の2つが見えてくる。1つはコロナ禍を含めた課題に対して、短期間で解決策を打ち出すベンチャー的な戦略。もう1つは、長い歴史を持ちながらも業態革命を推し進めることで逆境を打開する戦略である。

例えば、ICheck(アイチェック、東京・千代田)は社会のニーズにいち早く対応して成功した。同社は2020年12月創業で「新型コロナ抗原検査キット」の販売を手掛ける。抗原検査で陽性が出た人への無料のPCR検査や、企業が従業員の検査結果を一括管理できるWebサービスなどが他社との差別化となり、順調に成長している。

創業の背景には、社長自身が難病を患ったことがある。検査の重要性を認識した上、社会的にも意義があると考え、参入したという。今後はがんや糖尿病なども自分で検査できるサービスを提供していきたいと語る。同社の躍進は今後も期待される。

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