
東北大学病院腎・高血圧・内分泌科の長沢将講師は「腎臓や心疾患、脳卒中などへの影響は尿酸値が高いとリスクも高いことは示されているものの、どの程度の尿酸値でリスクが上昇するか、どの程度まで下げればいいかなどは明確になっていないため」と説明する。
薬による治療の有無にかかわらず、重要なのは食事や飲酒を含めた生活習慣の改善だ。肥満の解消、プリン体や果糖を取り過ぎない、適正な飲酒や十分な水分摂取、適度な運動などがポイントだ。
肥満があるとインスリンの働きが悪くなり、分泌量が増える。インスリンには尿酸の排泄を抑える働きもある。過食を防いで肥満を解消すれば、プリン体の摂取減と排泄増加にもつながり、一挙両得だ。
また、果物や砂糖に含まれる果糖は尿酸の産生を促す。「果糖を多く含む甘味飲料や果物ジュースの飲み過ぎにも注意してほしい」(今田教授)
飲酒についてはビールに含まれるプリン体の存在が有名だ。ただしビールに限らず、アルコールは体内のエネルギー源であるATPという物質の分解を進め、その結果、プリン体が増えるため、多飲すると尿酸産生量が増える。「プリン体カットの発泡酒であればたくさん飲んでも大丈夫」とはならないので要注意だ。
長沢講師は「体内で作られるプリン体もあるので、摂取量を減らすだけでは成果が得られにくい。その点、アルコール摂取量の抑制は尿酸値を下げることが多いのでお勧め」と話す。年末年始でごちそうを食べたり、アルコールを飲んだりする機会が多かった人はぜひ気を付けてほしい。
(ライター 坂井 恵)
[NIKKEI プラス1 2023年1月7日付]