痛風以外にも腎不全、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気のリスクとなる高尿酸血症。薬による治療が始まる前からの生活習慣改善が大切だ。
「尿酸値が高い」――。健康診断などでそう指摘されたことがある人は多いだろう。尿酸値は1デシリットル当たり7.0ミリグラムを超えると「高尿酸血症」と診断される。その数は約1千万人で男性に多く、20歳以上の男性の約5人に1人以上が高尿酸血症と推測される。

尿酸値が高いと尿酸が結晶となり関節に沈着して「痛風」が起こりやすくなる。山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学・衛生学講座の今田恒夫教授は「痛風以外に、高尿酸血症は腎障害や尿路結石、他の生活習慣病とも相まって心筋梗塞や脳卒中、腎臓病など命に関わる病気のリスクを高める可能性がある」と注意を促す。放置は禁物だ。
尿酸はプリン体が肝臓で分解されて生じ、腎臓でろ過され尿と共に排泄される。通常は体内で産生されたのと同量の尿酸が排泄されてバランスを保つが、尿酸が過剰に産生されたり排泄力が低下したりすると尿酸値が上昇する。産生過剰の原因は尿酸のもととなるプリン体を含む食事やアルコールの取り過ぎが主だ。
排泄低下の原因には腎臓の病気、肥満などに加えて、遺伝的要素もある。体質的に尿酸の排泄力が弱い人は肥満や食事・アルコールの過剰摂取がなくても尿酸値が高くなることがある。「高尿酸血症は太った人に多い病気」というイメージがあるが、やせていても油断できない。
近年は高尿酸血症と診断されて痛風発作を起こしたことや痛風結節がない場合は直ちに薬による治療が始まるとは限らない。
高血圧などの生活習慣病や心臓病などがあれば8.0ミリグラム/デシリットル以上で、痛風の既往や合併症がない場合では痛風発症リスクが高まる9.0ミリグラム/デシリットル以上で投薬を検討するのがスタンダードだ。