2023年1月4日発売の「日経トレンディ2023年2月号」 ▼Amazonで購入する では、「日本酒ランキング2023」を特集。古典的な製法への原点回帰、史上最高・初の探求、クラフトな次世代型サケ造り─―。全国各地の日本酒の酒蔵が相次ぎ、新しいファン層を取り込もうと、従来の常識にとらわれない挑戦を始めている。今、最高にイノベーティブな酒蔵、そして最高にうまい日本酒はどれか。最新ランキングと次のトレンドを予測した。

※日経トレンディ2023年2月号より。詳しくは本誌参照

最高にうまい日本酒はどれか。最新ランキングと次のトレンドを予測した
最高にうまい日本酒はどれか。最新ランキングと次のトレンドを予測した

 国税庁の調べでは、国内で生産される日本酒の総量は4年間で約27%減少。業界の先行き不透明感から生産を取りやめる、いわゆる“休眠酒蔵”となるケースも相次いでいる。「戦後、数度のブームを経てきたが、現在特に国内市場は伸び悩んでいる状況にある」(日本酒専門メディア「SAKETIMES」の小池潤編集長)

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 そんな中、全国各地の酒蔵による生き残りをかけた大勝負が始まっている。けん引役は、主に若い経営者や杜氏だ。「ここ数年、若手の経営者・杜氏への代替わりに加えて、創業家から別の企業に経営などに移管され、新しいコンセプトをもって酒造りを再開する動きが広がりつつある」。酒類ジャーナリスト兼コンサルタントの松崎晴雄氏はこう現状を分析する。

 例えば千葉の寒菊銘醸はその一例。航空会社の整備士出身で25歳で転職した柳下祐亮氏が杜氏に就任。「季節ごとに移ろいゆく、蔵の近くの九十九里浜海岸の風土を酒で表現するというOCEAN99シリーズの発想は、歴史的に見ても革新的」(毎週70銘柄を利き酒する酒ソムリエの赤星慶太氏)。出来上がった酒に対するプロの評価も高い。

 銘醸地のイメージの薄い北海道や九州、神奈川などで酒蔵の再生を試みる流れが生まれているのも新しい。2016年に三重県の酒蔵を北海道に移転し、地元でしか買えない大吟醸「神川」が話題を集める上川大雪酒造はその代表格だ。同社に刺激を受ける形で、函館市の北側にある七飯町に箱館醸蔵も誕生。千歳市などでも酒蔵再生の計画が進んでいる。

 注目度が急速に高まっているのは九州だ。人気焼酎の富乃宝山を手掛ける鹿児島の西酒造は、日本酒の製造免許を取得し日本酒造りに進出。壱岐焼酎で知られる長崎県壱岐島の重家酒造も18年、休眠させていた免許を使い日本酒蔵を復活。ミネラルが豊富で鉄分の少ない水を生かした「横山五十」をリリースした。

 こうした地殻変動が業界全体で起こりつつある今、「歴史の古い銘柄であれば安心」「純米大吟醸ならおいしい」といった従来の物差しでは日本酒を選びにくくなっている。そこで日本酒に精通する識者6人に現在最もイノベーティブな挑戦をし、23年に日本酒業界で話題を呼ぶことが大いに期待できる酒蔵を厳選してもらった。集計したランキングの結果は1位が山口県の旭酒造(銘柄は獺祭、以下同)、2位は宮城県の新澤醸造店(伯楽星)、3位は奈良県の油長酒造(風の森)となった。

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