ひらめきブックレビュー

食べずに飲む酒はなぜ不健康か 知られざる肝臓の働き 『肝臓のはなし』

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ここ数年で「宅飲み」の機会が増えた。食事もほどほどに好きなお酒を楽しむ機会が増えたという話も聞く。そんな生活習慣が健康にどんな影響を与えるのか考えさせられたのが本書『肝臓のはなし』だ。

著者の竹原徹郎氏は大阪大学大学院医学系研究科教授(消化器内科学)。肝臓病学の専門家である著者が、肝臓の特徴や機能、アルコールとの関係、様々な肝臓病と最新の治療法などを詳しく説明している。専門的な解説に加えて、肝臓にまつわる歴史的なエピソードや医学のトリビアも充実しており、読み物としても面白い。

■再生する臓器

肝臓は生体最大級の臓器の1つで体重の約2~3%にあたる。ヒトの場合は1200グラム(成人女性)~1500グラム(成人男性)くらいだ。肝細胞がぎっしり詰まっていて大量の血液が流れ込み、タンパク質、各種ビタミンや鉄分を豊富に含んでいる。

昔の人も肝臓の存在感や栄養価の高さには注目していたようだ。古くから魚や動物の肝臓は食材としてだけでなく占いにも用いられてきた。いけにえの腹を割いて、肝臓の色や形を観察し、国家の重要事項を決定する。古代ギリシャ・ローマ時代にはそんな「臓卜師(ぞうぼくし)」なる役職まであったという。

肝臓は「再生」する能力を持つ。3分の1の大きさになっても機能し、数カ月後には元の大きさに戻るのだ。いざという時の予備的な能力が高いのだが、一方で障害があっても気づきにくい。「沈黙の臓器」と呼ばれるのはこのためだ。

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