ひらめきブックレビュー

現代人の税負担は江戸の年貢以上 税金の歴史に学ぶ 『世界を変えた「ヤバい税金」』

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あなたは毎月、所得税をどれだけ払っているかすぐに答えられるだろうか?給与明細を見て「税金は高いな」と思ってもすぐ忘れ、使い道に特段の興味もない。そんな方は少なくないだろう。それでいいのだろうか?

国の指導者や上層部は「好き勝手に税金を使おうとします」。そう断言して始まるのが、本書『世界を変えた「ヤバい税金」』だ。税金が国家や社会に役立つ例はあったが、非効率だったり反対運動が起きたりして失敗した税金も多い。本書は世界史上に存在した「塩税」「ひげ税」「初夜税」など多様な税金を紹介しつつ税金への関心を促し、その使い道を監視すべきだと訴える。

著者の大村大次郎氏は、国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後は経営コンサルタント、フリーライターとして活動する。

■「未婚女子」は5倍の「独身税」

国家の財源として税金が不可欠なのは間違いない。しかし、過去には人権侵害と思われるような税金もあった。独身者の税金を重くしたり、特別な税金をかけたりする「独身税」はその一つだろう。古代中国には「算賦(さんぷ)」と呼ばれる人頭税(一人につき一定額を課す税金)があり、15歳から30歳までの「未婚女子」は通常の5倍を課されていたという。

「結婚して子どもをもつのが社会貢献」という偏った考え方が透けて見え、差別的と感じる方も少なくないだろう。現代日本はどうか。「配偶者控除」や「扶養控除」は、独身者や扶養家族のいない人の負担が、既婚者や扶養家族のいる人に比べて相対的に重くなる。その意味で「独身税」と同じことだと著者は指摘する。税金だけでなく、企業の仕組みの中にも見落とされた「不公平」はないか改めて見直す機会にしたい。

 

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