歴史を動かし、社会を変える

本書の例から見えてくるのは、ときに歴史を動かす税金の力である。スペインやポルトガルはかつて、オスマン・トルコの関税を避けるために新たな航路を開拓し、大航海時代が始まった。フランス革命の背景には重税を課された農民の反発があった。税金は社会も変える。2003年にロンドンの一部地域を通行する自動車に「渋滞税」が課された結果、交通量は15%減少し渋滞が30%緩和されたという。

現在の日本は税金が社会を良くするために集められ、使われていると言えるだろうか。本書によれば、近年、日本の中間層以下の負担は激増し、平均的サラリーマンは収入の約4割が税金や社会保険料に消える。これは江戸時代の年貢より重いそうだ。欧米では理不尽な増税に暴動が起きる例もあるとして、著者は日本人の税金への疎さに警鐘を鳴らす。

コロナ禍による財政支出が話題の昨今、私たちはもっと税金に関心を持つべきだろう。納めたからには有効に使ってほしい。本書から税金を身近に感じ、使い道まで見届ける意識を高めたい。

今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。2008年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

世界を変えた「ヤバい税金」

著者 : 大村 大次郎
出版 : イースト・プレス
価格 : 924 円(税込み)