新生! 無印良品“第二創業”の戦略 第8回

「第二創業」を掲げ、出店を加速する良品計画にとって重要性が増しているのが食品だ。特に、2018年9月から販売している冷凍食品の売れ行きは絶好調。21年3~8月の売り上げは、前年同期比約2倍に伸長。発売当初は冷凍食品を扱う店舗は4店舗のみだったが、現在は約90店舗。品数は50品目から、約90品目に増加している。

写真は、2020年12月にオープンした「無印良品 東京有明」の冷凍食品コーナー。幅1.2メートルの冷凍庫を7台設置している
写真は、2020年12月にオープンした「無印良品 東京有明」の冷凍食品コーナー。幅1.2メートルの冷凍庫を7台設置している

 「国内にある無印良品の約450店舗の中で、大型の冷凍庫を設置できる店舗から導入した。既存店は店舗の改装のタイミングに合わせて導入することが多い。新規の大型店の出店では、冷凍食品コーナーを設けることを前提に設計している」。良品計画 食品部調味加工担当カテゴリーマネージャーの鈴木美智子氏はこう説明する。

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 無印良品では2017年ごろから、菓子や嗜好品だけでなく、生活全般に役立つ食品を提供できないか検討していたという。そこから冷凍食品というアイデアが自然と生まれた。本格的に開発に向けて動き出したのは18年3月に、同社初の食品専門売り場を設けた「無印良品 イオンモール堺北花田」をリニューアルオープンした頃だったという。

 無印良品の冷凍食品が最も重視しているのは、便利さよりも食事の豊かさや満足度だという。一般的に冷凍食品といえば、解凍したり、電子レンジで温めたりするだけで食べられる「便利なもの」だ。ただ、便利であるが故に、冷凍食品を活用し過ぎると「料理の手を抜いている」というイメージを持つ人もいるだろう。その背景にあるのが「本当はひと手間かけた料理がしたい、だけど忙しくてできない」という生活者の本音だ。

 無印良品は、そんな生活者の気持ちを酌み取り、冷凍食品を頻繁に使っても後ろめたい気持ちにならない、むしろ積極的に使いたくなる工夫を随所にちりばめている。

 例えば、無印良品のカット野菜の魅力は、便利なだけでなく、料理にひと手間かけた気分になれることだ。カボチャやニンジンなど野菜をさいの目にカットした「すぐ使える スープの野菜」や、カラフルなパプリカ入りの「すぐ使える グリル野菜」などは、料理の具材として使ったときの見栄えや彩りが良く、作っているときも食べるときも満足度が高い。野菜くらい自分で切ればいいのに、と思う人もいるだろうが、彩りの良い野菜を自分で多種類そろえるのはお金も手間もかかる。それを省けるだけで時短になり、料理を楽しむ余裕にもつながるという考えだ。

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