揺れるミャンマー情勢 続く民主派弾圧、遠のく高成長

「ミャンマーで、国軍がクーデターを起こしてから1年がたったね」「市民や国際社会の多くは批判を続けているようだけど、以前のような民政に戻れるのかな」

ミャンマー情勢についてバーチャル・キャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが高橋徹アジア総局長に聞きました。

日比くん「事態はどう推移してきたのですか」

国軍は2021年2月1日、事実上の国家トップだったアウンサンスーチー国家顧問ら与党・国民民主連盟(NLD)の幹部を拘束し、国家の全権を握ったと宣言しました。怒った市民が抗議デモを拡大すると武力弾圧し、人権団体によればこれまで約1500人を殺害しています。

スーチー氏は17の罪状で訴追され、社会不安をあおったなどとしてすでに5件に有罪判決が出ました。汚職など他の罪状もすべて有罪なら、刑期は計150年を超す恐れがあります。特別法廷の審理は非公開で、公正さを著しく欠くと批判されています。

スーチー氏を支持する民主派は各地で武力闘争も始めています。一部の少数民族勢力から訓練や武器提供を受け、ミンアウンフライン総司令官が率いる国軍へ報復攻撃に出ており、政情は混沌としています。

名瀬さん「なぜクーデターを起こしたのでしょう」

20年11月の総選挙でNLDが改選議席の8割超を獲得し、国軍直系の政党が惨敗したのがきっかけです。国際的な選挙監視団が「選挙は公正に実施された」と評価したにもかかわらず、軍は不正を訴えました。全権を握ったうえで徹底的に調査し、総選挙をやり直すと主張しています。

ミャンマーでは2021年2月以降、国軍の影響下にある(首都ヤンゴンの市街)=PIXTA

同国は10年、20年ぶりの総選挙を経て軍政から民政に移行しました。NLDは15年の選挙で軍系の与党を破り、半世紀余り続いた軍の政治支配を終わらせました。国軍は国会の定数の25%を占める非改選の軍人議席を通じ政治に関与できるものの、2度続けての大敗で、影響力低下に危機感を抱いたようです。

日比くん「各国はどう対応しているのですか」

米欧は市民への打撃を抑えるため、軍幹部に的を絞って経済制裁を科していますが、いまのところ目立った効果はありません。独自のパイプが期待された日本の説得も不発です。国連は武器輸出で軍と親密な中国、ロシアの反対で機能不全に陥っています。

国際社会が手をこまねくなか、期待されたのが東南アジア諸国連合(ASEAN)です。21年4月に異例の特別首脳会議を開き、国軍と民主派の対話調停のための議長特使派遣など、事態打開への「5項目合意」をまとめました。ところが国軍は9カ月たっても特使を受け入れていません。ASEANは合意を履行するまで軍首脳や閣僚を加盟国同士の会議から締め出すと決め、膠着状態のままです。

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