京都絹織物「丹後ちりめん」のネクタイ 手織りの輝き

独特の光沢が特徴のネクタイと楠社長

京都府北部の特産品として知られる絹織物「丹後ちりめん」。クスカ(京都府与謝野町)はこの伝統の技法を現代に継承し、大量生産ではなく、職人の手織りによる高品質な絹ネクタイなどのブランド「kuska fabric(クスカ ファブリック)」を手掛ける。丹後の地域との共生を重視したブランドしても存在感を発揮している。




赤、藍、銀、そしてエンジ――。東京都千代田区にあるクスカの旗艦店を訪ねると色とりどりのネクタイが迎えてくれる。厚みのある立体的な生地からは見たことのない光沢が高級感を醸し出す。「手織りだからこの光と質感を出せます」と楠泰彦社長は語る。

丹後ちりめんは300年前からある京都府北部の特産品として知られる。現在も国内の着物生地生産の60%を占める。「しぼ」という表面にある独特の凸凹が特徴だ。クスカの絹ネクタイも丹後ちりめんの技法を生かす。楠社長が重視するのは「表面的でなく素材と向き合った本質的なデザイン」だ。

伝統技法「絡み織り」で商品に立体感

絹の繊維は断面が三角形をしている。繊維は長くもともと光沢がある素材だ。クスカの職人はゆっくり空気を含ませるように織っていく。すると繊維の三角形が不規則に並び、生地の表面に凸凹ができる。ここに光が当たることで乱反射し、絹そのものの光沢を一層引き立たせるのだ。「光のプリズム効果を最大限に引き出す」(楠社長)

これが通常の機械で織ると糸に圧力も加わり、繊維の三角形も規則的に並んでしまう。生地の表面も平面になり光の乱反射は起きない。楠社長は「機械で織ってもミリ単位では同じだろうがミクロン単位で少し違う。これが商品の表情になる」と話す。着物同様の「絡み織り」という技法を使う。縦糸を交差させて織っていくことで商品の立体感を高めている。

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