2021/10/17

2つの杜氏の流れを引くという酒を飲んでみた。最上位ブランドの「若鶴」は越後流。わずかに辛さを感じるが、淡い味わいだ。次位の「苗加屋(のうかや)」は口の中に甘さが広がった後、おさまりよく引いていく。甘さは南部流、キレのよさは越後流と、両方の特徴をかけ合わせている。

酒米を蒸す工程。この後、麹菌をコメに付着させて麹をつくる

越後流はコメや麴(こうじ)になるべく水分を吸わせずに発酵を抑えて、軽い飲み口にする。現在の杜氏、籠瀬信幸氏によると「喉に通りやすい酒」だ。南部流は麴の量が多く、水分もあまり飛ばさないため「甘くてガツンとくる」(同)。いわば、まったく逆の手法が併存していた。

南部杜氏は94年に引退したが、籠瀬氏は越後、南部の両方の酒造りを見てきた。同社は、北陸で取れる魚を中心とした和食に合う酒造りを基本とする。淡麗な越後流が適していると思われがちだが、籠瀬氏によると「ブリなど脂が多い魚には、南部流を取り入れた『苗加屋』が向く」。食べ物の味の邪魔はしないが、負けもしない酒を造るのが若鶴酒造流だ。